2010 Fiscal Year Annual Research Report
企業業績予想公表後における株価のドリフト(PEAD)に関する実証研究
Project/Area Number |
21530485
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
加藤 千雄 大阪経済大学, 経営情報学部, 准教授 (90319567)
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Keywords | PEAD / 経営者予想 |
Research Abstract |
本研究ではPost Earnings Announcement Drift(以下PEAD)とよばれる証券市場におけるアノマリ現象について考察を試みる。PEADとは決算公表後数ヶ月から数年にわたり、株価が上昇(市場予想を上回る決算の場合)あるいは下落(市場予想を下回わる場合)トレンドを続けることをいう。一方従来から企業業績は相当の期間好調(不調)な期間が続くことも広く知られてきた。PEADの存在は、市場が業績予想情報に対して過小反応(Under-reaction)することを意味し、効率的市場仮説に対する代表的な反証となっている。 一方我が国の上場企業は証券取引所が定める適時開示規則に則り業績予想を開示している。これは他国に類を見ない特異な情報開示制度である。本研究ではこの予想開示制度に注目し、市場がどのように予想情報を咀嚼し価格形成に織り込んでいくのかを分析対象としている。当該年度に得られた知見では、期首予想は公表直後から半年近い期間をかけて、なだらかに株価に織り込まれていることが明らかになってきており、米国との選好研究とも整合的な結果であった。しかし期中の修正情報を織り込むと、株価を動かしている要因は期首の情報ではなく、期中修正である可能性が明らかになってきた。従来からのPEADの議論はドリフトを課題に評価している可能性が考えられる。今年度はテストの頑健性を考慮して計画を進める。
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