2009 Fiscal Year Annual Research Report
金融商品市場における投資リスク情報の保証効果に関する比較制度論的・実証的研究
Project/Area Number |
21530486
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松本 祥尚 Kansai University, 会計研究科, 教授 (30219521)
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Keywords | 監査基準 / 監査報酬 / 独立性 / 保証業務 / 四半期レビュー / 中間監査 / 追記情報 |
Research Abstract |
国際的に市場において取引されるさまざまな金融商品のリスクや不確実性の程度を明らかとする格付け情報等が果たす保証効果は、制度的には格付けや監査関連の情報に認められる。このような保証のための情報は、投資者が安全に金融商品取引を行なうためだけではなく、損害を被ったときの補償の程度を予見することにも貢献することから、投資意思決定の事前的にも事後的にもこれら情報は不可欠である。そこで、事前的・事後的観点から本研究では以下のような内容を明らかにすることを目的としている。 (1)これらのリスク情報が金融商品取引を誘引するためにどのような役割を果たしているのか、 (2)当該取引の後に生じるかもしれないリスクの顕在化、すなわち損害の発生に対して、保証情報がどのような効果を持つのか、 (3)開示が望ましい保証情報の内容と特性、及び保証水準 事前的な監査に関連する情報の効果を確認するため、わが国監査基準の国際対応の観点から改訂された内容を予め検証し、それら改訂がわが国監査の有効性にどのような影響を与え、結果として証券市場における保証効果として顕在化する内容を明らかにした。また同時に事後的な効果を検証するために、投資者による補償程度の予見という観点から、法定開示情報となった監査報酬の多寡が投資意思決定にどのような影響を及ぼしたのかについて、アメリカとの比較によって検証している。 以上のように監査関連の規制ならびに情報が、事前的・事後的効果として期待される内容と、当該内容を反映する規制と変数について確認した。この確認の結果は、今後のあるべき保証に関連する情報開示規制のあり方を示唆するものと捉えられる。
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