2010 Fiscal Year Annual Research Report
企業の気候変動対策要因を考慮した企業価値評価モデルの株価説明力に関する実証分析
Project/Area Number |
21530488
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
阪 智香 関西学院大学, 商学部, 教授 (10309403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大鹿 智基 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (90329160)
尾畑 裕 一橋大学, 商学研究科, 教授 (20194623)
長束 航 福岡大学, 商学部, 准教授 (70329069)
溝口 周二 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 教授 (30200033)
渡辺 剛 福岡大学, 商学部, 准教授 (30269493)
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Keywords | 会計学 / 企業価値評価 / 気候変動 / イノベーション / 人的資源 |
Research Abstract |
研究期間2年度にあたる2010年度は、研究期間初年度(2009年度)において検討した企業価値評価モデルの前提および枠組みを基礎として、下記の研究を行った。これらの成果をふまえ、最終年度(2011年度)では、企業価値評価モデルに含める各因子のKPIを決定するための、株価説明力に関する実証分析を行う予定である。 1. 企業価値評価モデルの検討 将来の価値因子に気候変動要因等が組み込まれた企業価値を想定し、企業価値評価モデルの意義、企業評価モデルのコンセプト、企業評価の対象について検討を行った。 2. 企業価値評価モデルに含める要因の選定と企業のKPIデータの収集 気候変動因子、人的資源因子、イノベーション因子の具体的な指標群を選定し、企業価値モデルの株価説明力に関する実証分析に用いる企業のKPIデータの収集を行った。 3. 気候変動因子のKPIデータ((1)2006年度・2007年度・2008年の温暖化対策推進法に基づく事業所ごとの温室効果ガス排出量データ(CO_2単位)、(2)カーボンディスクロージャー・プロジェクトによる企業の温暖化対策等の情報開示データ、(3)排出量取引国内統合市場参加企業データ)を用いて、それらの株価説明力に関する実証分析を行った。分析結果は、CO_2排出量が株式時価総額に対して有意な負の影響を有すること、CO_2関連情報開示によってその負の影響が緩和されること(排出量取引市場参加企業データについては緩和する可能性)が示された。また、CO_2排出量が増加(減少)した企業の株価リターンが低い(高い)ことを確認した。この分析結果は、企業のCO_2排出効率情報とCO_2関連の情報開示が投資家の意思決定に利用されており、気候変動因子が企業評価に影響を与えていることを証拠づけた。
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Research Products
(5 results)