2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530494
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 勇 University of Fukui, 教育地域科学部, 教授 (90176321)
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Keywords | 質的研究 / 評価規準 / 質的インタビュー調査 / 農業・農村生活の価値 |
Research Abstract |
(1)文献研究 質的研究の代替的評価規準において,従来の「妥当性」規準はどのように再構築され得るかについて,LeCompte & Goetz(1982), Lincoln & Guba(1985), Hammersley(1990, 1992), Wolcott(1990), Lather(1993), Schwandt(1996, 2007), Flick(1998), Kvale(1996, 2008)などの先行研究の比較検討を通して,考察した。その結果,「妥当性」は,競合する反証可能な解釈間の選択の問題として捉え直されるべきこと,そして,反証に関わる解釈共同体の種類と範囲を設定し,そこでの議論と合意を通して妥当性は構築されること,また,その議論過程では,研究の学術性・専門性は当然ながら,それに加えて調査知見の社会的効果や効用が考慮されるべき重要な要素の1つになること等を暫定的な結論として得た。 (2)質的インタビュー調査の設計と試行 (1)と並行して,代替的規準に基づく評価試行に供すべき質的インタビュー調査を企画・設計するとともに,パイロット的に数名の農業者・農村生活者の方々を対象にインタビューを実施した。調査は,農村研究における「文化論的転回」以後の研究課題に応えるべく,農業および農村生活に対する当事者の価値づけ方を多角的に探ろうとする半構造化インタビューである。課題設定および調査の各段階に対する自己評価・他者評価を念頭に,調査過程を記録化した。
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