2010 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者の相互行為における指示手続きとカテゴリー
Project/Area Number |
21530496
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
串田 秀也 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70214947)
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Keywords | 社会学 / 会話分析 / 医療・福祉 |
Research Abstract |
社会的行為においてある成員カテゴリーが参照されているという事態に関する厳密な社会学的記述を、とくに精神障害者を取り巻く相互行為場面の会話分析を通じて構成することが研究の狙いである。本年度は、昨年度収集した相互行為場面のビデオデータのトランスクリプト作成を進めるとともに、研究の狙いに即したデータベースの構築を進め、それに基づく分析の成果をいくつかの学会で発表した。またその一部を論文として発表した。 分析の一つは、外来診察場面において処置を決定する発話連鎖がどのように組織化されているかに関するものである。これは社会言語科学会で発表したのち、論文として発表した。処置の決定にいたるステップは、まず医師が処置を薦めることによって開始されるべきであることが規範として指向されており、その意味で医師の主導性が見られる。しかし、処置を薦める発話の形式を詳細に見ると、医師は処置内容が診察のそれまでの経緯の延長上で理解可能であるかどうか、また患者の意向に沿っているかどうかに注意を向け、それに即して発話形式を選んでいることが分かった。もう一つは、診察場面において患者が医師の薦める解決とは異なる解決への関心をどのようにして示すかに関するものである。これは日本社会学会で発表したのち、現在論文を投稿中である。患者はこうした「追加的解決方法」への関心を示すことをデリケートな行為として提示し、医師もそれをデリケートな行為として応じていることが分かった。
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