2009 Fiscal Year Annual Research Report
動員と近代日本に関する歴史社会学的研究~総力戦体制下の植民地動員を基準にして~
Project/Area Number |
21530508
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Research Institution | Nagasaki Wesleyan University |
Principal Investigator |
亘 明志 Nagasaki Wesleyan University, 現代社会学部, 教授 (60158681)
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Keywords | 動員 / 近代化 / アジア太平洋戦争 / 植民地 / ナショナリズム / 戦後補償 / 総動員 / 記憶 |
Research Abstract |
本研究は、日本の近代化過程を、動員(労働動員および軍事動員)という観点から捉えなおし、戦争や国民国家、植民地など近代化の負の側面と、経済発展や民主化、人権といった近代化によって獲得されたとされる望ましい価値とを、一貫した論理のもとに把握するという全体構想のもとに位置づけられる。 そのため、本研究では、第二次世界大戦(アジア太平洋戦争)中の、植民地朝鮮から日本への労働動員及び軍事動員に焦点を当て、日本において犠牲になった朝鮮人の遺骨をめぐる諸問題を、文献・資料に基づく歴史社会学的方法及び聞き取り調査によって総合的に把握することを目指し、それを基準に近代化の動員モデルを構築する。また、ナショナリズム等の思想的背景が、日本と植民地朝鮮及び時代区分(明治・大正・昭和)などによってどのように異なり、どのようにして動員の駆動力または抵抗力になりえたのか、ということも分析対象とする。 平成21年度は、以上の研究目的と研究計画に基づき、基礎的なデータと資料の収集を行った。すなわち、福岡県筑豊地区及び大牟田地区の炭鉱労働への労働動員に関する現地調査を行うとともに、基礎的な文献資料、行政資料、企業資料などの収集を行った。また、日韓の市民運動、政府機関で進められている遺骨返還の動きについてもフォローした。 以上の戦中期・総力戦下の総動員体制を、それ以前の時期や戦後と比較してみると、最も純粋な「動員モデル」と把握することができる。この「動員モデル」は近代化過程の到達点であるとともに、戦後の進路を水路づけるものでもあった。これらの動員=人の動きの効果として生み出されたものが、ナショナリズムなどの自らを意味づける言説であり、そのあり方は日韓の間に大きな隔たりがあった。
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Research Products
(2 results)