2011 Fiscal Year Annual Research Report
動員と近代日本に関する歴史社会学的研究~総力戦体制下の植民地動員を基準にして~
Project/Area Number |
21530508
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Research Institution | Nagasaki Wesleyan University |
Principal Investigator |
亘 明志 長崎ウエスレヤン大学, 現代社会学部, 教授 (60158681)
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Keywords | 動員 / 近代化 / アジア太平洋戦争 / 植民地 / 総力戦 / ナショナリズム / 統治性 / 戦後補償 |
Research Abstract |
本研究は、日本の近代化過程を、動員(労働動員および軍事動員)という観点から捉えなおし、戦争や国民国家、植民地など近代化の負の側面と、産業革命や民主化、人権といった近代化によって獲得されたとされる望ましい価値とを、一貫した論理のもとに把握するという全体構想のもとに位置づけられる。 そのため、本研究では、第二次世界大戦(アジア太平洋戦争)中の、植民地朝鮮から日本本土への労働動員および軍事動員に焦点を当て、日本において犠牲になった朝鮮人の遺骨をめぐる諸問題を、一つの手がかりとして、文献・資料に基づく歴史社会学的方法および聞き取り調査等によって総合的に把握することを目指す。最終的には、近代化の動員モデルを構築する。また、ナショナリズムなどの思想的背景が、日本と植民地朝鮮および時代区分(明治・大正・昭和)によってどのように異なり、どのようにして動員の駆動力または抵抗力となりえたのか、ということも分析対象とする。 平成23年度は、平成22年度に行った韓国での被強制動員者およびその遺族、韓国の戦後補償運動団体等への聞き取り調査のデータを、韓国語から日本語に翻訳して基礎データ化し、企業資料および行政資料等と照合する作業を通して、植民地からの強制動員の実態についての分析を行った。また、日韓の市民運動、政府機関を通して進められている遺骨返還の動きについてもフォローした。 以上のアジア太平洋戦争下の総動員体制(特に植民地強制動員)を、それ以前の時期や戦後と比較してみると、最も純粋な「動員モデル」と把握することができる。この「動員モデル」は近代化過程の到達点であるとともに、戦後の進路を方向づけるものでもあった。また、これらの動員計画策定とその実施の間には少なからず齟齬があるが、「動員モデル」はそれらの諸力の複合という意味での統治性(フーコー)の問題の解明につながる。
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Research Products
(3 results)