2011 Fiscal Year Annual Research Report
オーラルヒストリーによる高度経済成長期の市民・住民運動の研究
Project/Area Number |
21530513
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
藤林 泰 埼玉大学, 教育機構, 教授 (80292639)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市橋 秀夫 埼玉大学, 教養学部, 教授 (70282415)
平井 一臣 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (00199027)
木原 滋哉 呉工業高等専門学校, 教授 (20259922)
|
Keywords | 市民運動 / 住民運動 / オーラルヒストリー / 高度経済成長期 / 社会運動 |
Research Abstract |
市民運動と住民運動の二つのチームに分かれて調査・研究を進め、以下の成果と知見を得た。 【市民運動研究チーム】 福岡べ平連:1.福岡べ平連事務局長石崎昭哲氏の遺した一次史料により、史実の発掘を進めた。2.福岡べ平連とその前身にあたる「10の日デモの会」の全体像をまとめて学会報告を行った。3.初期から中期の参加者への聞き取り調査を進め、「10の日デモの会」の発足と展開の過程が把握できた。運動は、九州大学の研究者をはじめ戦前リベラリスト世代の数学者、社会科学者などのサブ・ネットワークの重なりの上に成立していたこと、東京べ平連との連携も多くがサブ・ネットワークにおける人的な結びつきで実現できたことが明らかになった。 広島・岩国べ平連:関係者への開き取りと関係資料の発掘を行い、広島・岩国べ平連の活動の実態、とくに岩国では反戦米兵に協力するという反戦運動のスタイルが存在したこと、広島では「わだつみ会」が核になっていたこと、広島べ平連の活動が反核運動に加害者の視点を導入するのに寄与したことを解明した。 【住民運動研究チーム】 志布志湾開発反対闘争:中心人物であった藤後惣兵衛氏が遺した資料について資料研究を継続した。また、沖縄・奄美における社会運動に関して出版された『地のなかの革命』に関する書評論文を執筆、発表した。 広田湾埋め立て反対運動:昨年度までの岩手・宮城・沖縄における聞き取り調査と資料収集の結果、70年代の公害反対住民運動は、補償問題や技術的対策だけではなく、社会構造のあり方、科学技術の功罪、発展の概念などを根本から問い直そうとしていたことが明らかになった。本研究の過程で得られた当事者の証言や資料の中には東日本大震災によって失われたものも多く、これまでの蓄積を形にして現地へ戻すことを今後の課題としたい。
|