2009 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・クオリティ概念の定式化と関係形成能力の評価指標の開発
Project/Area Number |
21530519
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
三重野 卓 University of Yamanashi, 教育人間科学部, 教授 (10262643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西久保 浩二 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (70447704)
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Keywords | 「社会の質」 / 「生活の質」 / 社会関係資本 / 社会的凝集性 / エンパワーメント / 福祉社会 / 不安感 / 満足感 |
Research Abstract |
本研究では、まず、社会連帯、社会統合、関係性に関する諸概念、すなわち、共生、および社会関係資本、社会的排除、社会的包摂、社会的凝集性などについて、精査し、共生の視点から、他の諸概念を位置づけ、体系化した(この点は、三重野卓『福祉政策の社会学-共生システム論への計量分析』ミネルヴァ書房、2010、第7章>。また、国や各自治体の研究動向をサーベイした。具体的には、内閣府の様々な研究動向を総括するとともに、社会関係資本に焦点を合わせ、さいたま市、新潟市、神戸市においてヒヤリング調査を実施し、その実際、研究動向、政策との関係について、分析を行った。さいたま市は、職員による各種事業への社会関係資本評価を行っており、新潟市は、田園的要素と都市的要素のミックスに特色がある。神戸市は、計画との関連を強く意識している。こうした関係性の概念がわが国において根付くためには、政策評価と結び付き、また自治体の計画に位置づけられることにより、制度化される必要があるとの結論に達した。 その一方で、「生活の質」から「社会の質」へという動向を指摘することができる。わが国では、「社会の質」という言葉は、普及していないが、社会的包摂、社会的凝集性、社会的エンパワーメント、社会・経済的保障を含めた包括的な概念である。「社会の質」について、ミクローマクロの視点、関係形成能力、制度、政策の「質」、媒介項としての家族、職場、地域の視点を導入し、さらに最終的なアウトプットとしての意識(満足、不満、格差)に着目した独自の論理枠組みを構築した(この点は、上記、三重野、2010の第9章)。こうした、理論的研究、ヒヤリング、そして、関係性に関する既存の調査を精査することにより、22年度に向けての調査票の設計を行っている。
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Research Products
(1 results)