2010 Fiscal Year Annual Research Report
NIMBYをめぐる環境紛争と合意形成の多元性に関する比較社会学的研究
Project/Area Number |
21530522
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
土屋 雄一郎 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (70434909)
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Keywords | NIMBY / 環境紛争 / 合意形成 / 廃棄物問題 / 環境社会学 |
Research Abstract |
環境社会学における合意形成論の研究誌を整理しながら、合意形成を大きく、(1)合理的手続き主導型、(2)共同体規範主導型、(3)公的機関主導型、(4)生活世界の存在根拠に連動する合意形成の4つに分類し、多様なパースペクティブからNIMBYを主題に掲げた研究のレビューをおこなうとともに、当該課題にかかわるより汎用性の高い合意形成論を展開するための論点を抽出した。 一方、迷惑施設の立地をめぐって現実に生起している合意形成の現場を説明するため、主として長野県安曇野市豊科町および上田市において聞き取り調査を実施した。調査の対象となる地域は、廃棄物処分場の立地選定が「民主的」で「科学的」な手続きのもとで進められたにもかかわらず、その帰結が地域社会の承認を得ることができずにいる。それは決して特異なケースではない。最終処分場の立地をめぐって、みずからの立場や主張の正当性を「環境」という課題に求めて競う環境紛争の射程は、私たちが依拠してきた、ときに「便所のないマンション」とも椰揄される社会・経済システムを支えてきた価値観や生活世界の存在根拠、換言すれば、大量消費・大量廃棄社会の内部の人びとの日常意識と無限幻想を支えてきた「間接化の構造」の存立を問う点にまで及んでいることを生活世界の実相から明らかにするための検討をおこなった。 あわせて、こうした検討を比較社会学的な視点をもっておこなうため、都市化と生活世界における物質化が社会の民主化とともに急速に進むネパール、カトマンドゥにおける廃棄物問題に関する基礎的な調査に取り組んだ。
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