2009 Fiscal Year Annual Research Report
介護労働の国際移動と異文化間介護-東南アジアからの介護労働者の参入をめぐって
Project/Area Number |
21530534
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小川 玲子 Kyushu University, アジア総合政策センター, 准教授 (30432884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 裕子 九州大学, 医学研究院, 准教授 (50294989)
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Keywords | グローバリゼーション / 国際移動 / 介護・看護 / 移民 / フィリピン / インドネシア / ジェンダー / 経済連携協定 |
Research Abstract |
本研究の目的はケアの現場に外国人が参入することにより、介護労働の概念、介護意識や介護行為がどのように変化し、ケアの労働市場にどのように構造化されていくのかを質的・量的調査で明らかにすることである。2009年1月にインドネシア人看護師・介護福祉士候補者の第1陣を受け入れる病院・施設を対象として行った量的調査の結果に基づき、2009年4月5月は東京、神奈川、大阪、佐賀、福岡の病院や施設において候補者、教育担当者、施設長、利用者等に対してインタビューを行った。また、外国人看護師・介護福祉士候補者を対象とした量的調査としては、2009年5月にフィリピン人候補者を対象として、来日動機や属性に関する調査をマニラで行ったほか、フィリピン海外雇用庁が主催する出国前研修にてインタビューと参与観察を行った。さらに、2009年8月、インドネシア人候補者を対象として、フィリピンと同じ枠組みの量的調査をバンドンのインドネシア教育大学にて行った他、政府関係者へのインタビューも行った。さらに、2010年1月には配属から1年を経たインドネシア人候補者に対するアセスメント調査を行った。 これらの調査結果は、論文としてまとめられた他、国内外の学会や国際会議で報告された。特に、招待講演を行った国立シンガポール大学主催の"Transnational Mobilities for Care : State, Market and Family Dynamics in Asia"はこの分野の第一線の研究者が集う国際会議であり、グローバル化するケアの研究の中に本研究が位置づけられたことは大変大きな意義を持つ。なぜならば、本研究が扱う日本への外国人看護師・介護福祉士の国際移動の課題は、他の地域における<移住労働の女性化>とは異なる様相を呈しており、今後の理論的・実証的な把握のためには比較の視点が不可欠であるからである。また、国際会議や調査などで訪問した国立シンガポール大学や国立インドネシア大学などでは、講義や研究会などが開催され、ケア労働をめぐる研究者やNGOとのネットワークが構築された。
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Research Products
(25 results)