2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本式バースセンターに関するシステム開発研究-病院内潜在助産師の人的活用-
Project/Area Number |
21530538
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
勝川 由美 Yokohama City University, 医学部, 助教 (20438146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂梨 薫 横浜市立大学, 医学部, 教授 (60290045)
臼井 雅美 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (50349776)
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Keywords | 社会問題 / 社会福祉関係 / 社会学 / 医療福祉関係 / 看護学 |
Research Abstract |
2007年度の調査から、病院勤務の助産師のうち16.3%が産科の関連しない病棟や外来に配属されていること(病院内潜在助産師の存在)がわかった。また、近年の産科医師不足を背景とした周産期医療問題の改善策としてめオープンシステム(妊婦健診はクリニックで、分娩は契約した病院でクリニックの医師の立ちあいで行う)導入は、病診連携の義務化などが必須となり既存の開業医からの反発が予想される(多和田、2005)。研究者はバースセンターを病院内潜在助産師の人的活用法としてとらえ、バースセンター(正常分娩を医師の立会いなしに助産師のみが介助を行う)を含めた新たな周産期医療提供システムについて検討する。平成21年度は、セミオープンシステム方式を実施している英国のバースセンターおよび助産師教育と業務範囲についての現状と量の課題等を明らかにすることを目的として、英国のバースセンターの視察、およびインタビュー調査を実施した。 その結果、(1)イギリスのバースセンターは、分娩の集約化を緩和する目的で設置されたのではなく、女性が望む分娩方法を提供する施設の選択肢として設置されていること、(2)バースセンターでの分娩数ほ全分娩数の9.6% (2007年)で、利用率は徐々に上昇していること、(3)マンツーマンのケアである特性上、バースセンターでケアできる産婦の数に制限があること、(4)産科病棟での分娩のうち、助産師のみが分娩を担当している割合は60.3%を占めることなどが明らかとなった。これは、一般の産科病棟かバースセンターかという場所の問題ではなく、分娩における助産師の主体的なケアのニーズが高いことを示唆している。また、分娩のセンター化が進められた結果、NHS(National health service)1施設の分娩数は2000~7000件と莫大な数になっており、そこで勤務する助産師はハードワークに疲弊してきていることが明らかとなった。その一方で、バースセンターでは1人の産婦に2人の助産師が付き添い、入院から分娩、退院まで管理しており、ゆったりしたケアが提供されていた。日本の場合、助産師のみが分娩に立会い介助する助産所の利用者はわずか1%しかおらず、産科医師のいる施設での分娩が大半を占める。その一方で、自然分娩を求める産婦も多く、医師の立会いに対する一般妊産婦のニーズや、病院管理者や産科病棟看護管理者のニーズもふくめた調査を今後実施する必要がある。
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Research Products
(7 results)