Research Abstract |
平成21年度は,次年度の調査にむけて,準備を行った.まず,SSM調査データを再分析して,初職をえるときに入職経路がどのような影響をもつのかを検討した.そのために,初職の職業威信スコア,継続年数,転職した場合は離職理由を従属変数とした分析を行った.入職経路は,従来の研究を踏襲して,個人的紐帯,血縁関係(以上がネットワーク),学校関係,直接参入の4分類を用いた.その結果,日本での初職の就職において,ネットワークはマッチングの効果をもつことが明らかになった.とくに,その中心は血縁関係が担い,男性に顕著に見られた.さらに,学校を経由した制度的連結は女性の地位を押し上げる役割を果たした. これを踏まえて,調査票の検討を行った.今回は郵送調査であることから,質問は最小限として,20ページ以内に納めることとした.そのため,意見や態度については原則として質問しない.インタビューを行った結果,現在の社会的格差はキャリア形成だけでなく,人びとの生活にひろく影響して,とくに食生活と健康格差に現れていることが分かった.そこで,食生活と健康についての文献を調査して,質問項目を検討した.基本属性として,性別,年齢,学歴,職業,キャリア,収入,家族構成などを質問する.食生活については,食品群別の摂取頻度,外食,好き嫌い,食生活への意識,食費などを質問する.健康については,疾病歴,慢性病,メンタルヘルス,主観的健康感,ヘルスリテラシー,定期健康診断,運動,飲酒,喫煙,医療費などを質問するべきことが分かった.
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