2009 Fiscal Year Annual Research Report
外国人研修生送り出し制度と日本の地域社会の再生~中国送り出し団体を中心に
Project/Area Number |
21530556
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
上林 千恵子 Hosei University, 社会学部, 教授 (30255202)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶋 淳子 法政大学, 社会学部, 教授 (20255152)
|
Keywords | 外国人労働 / 外国人研修生 / 外国人技能実習制度 / 中国系移住者 / 移民政策 / エスニシティ |
Research Abstract |
●本年度調査対象地域は以下のとおりである。 1.愛媛県松山市および宇和島市の中国人研修生受け入れ企業へのヒアリング 2.連合愛媛および連合徳島への外国人研修生問題のヒアリング 3.中国江蘇省常熟市の研修生送り出し団体へのヒアリングと帰国研修生面接 4.江蘇省無錫市近郊農村に立地した日本人資本による研修生送り出し会社へのヒアリング ●この結果、次のような事実が明らかになった。 1.高齢化によって若年者が少ない地方では、研修生への依存度が高く、これは労働力としてだけではなく、結婚相手としての役割を果たす場合が見られた。東京で推測する以上に、若年者としての研修は中小企業の維持だけでなく、地域社会の維持にも役立っている。 2.中国送り出し側は、これまで工場で働いたことのない農村労働力を訓練陶冶して、日本で近代的工業労働力としての研修生を送り出そうとしている。一方、日本側の企業は、高学歴者よりもこうした素朴で従順な労働者を歓迎する傾向にある。技能実習制度は、技術移転の問題以前に、農村労働力を工業労働力へと変化させる機能を果たしている。その観点からみると、具体的な特定の技能を習得する以上に、工業化に必要な時間規律、規則順守、正直さといった生活態度の習得に送り出し団体と受入れ企業の力点が置かれている。 3.しかしこうした近代以前の意識を持った農村出身労働者は、外国人であることもその理由の一端となって労使の対等な関係を知らされることなくともすれば派遣団体、受け入れ団体、受け入れ企業の搾取の対象となりやすく、労使紛争が起きやすい環境下に置かれているすでに労使関係が安定した日本の企業と比較して、不安定な労使関係となっている。彼らの勤務地が過疎化された地域であることにより、外国人が日本社会から隔離された状態にあることも、こうした不安定さを生む要因の一つとなっている。
|
Research Products
(2 results)