2011 Fiscal Year Annual Research Report
外国人研修生送り出し制度と日本の地域社会の再生~中国送り出し団体を中心に
Project/Area Number |
21530556
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
上林 千恵子 法政大学, 社会学部, 教授 (30255202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶋 淳子 法政大学, 社会学部, 教授 (20255152)
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Keywords | 外国人労働 / 外国人研修生 / エスニシティ / 中国系移住者 / 移民政策 |
Research Abstract |
1.中国人技能実習生の来日動機と技能実習の成果、技能実習生の来日目的は、制度趣旨の「技能移転」とは異なり、金銭目的である。しかしそれだからと言って、来日成果が金銭だけに限定されていない。第1に、彼等の多くは農村出身の農民工であり、元来、工場労働を経験したことがない。こうした彼らが、工業労働力として必要とされる生活規律と職場規律を身につけて、農民から労働者への転換に必要な訓練が行われた。さらに、衣服製造業のように既に中国で発展している業種では、彼女たちは既に縫製工としては熟練労働者であったが、日本の高度な品質管理を習得した。この2点が、金銭以外の技能実習成果である。 2.中国側実習生送り出し団体(派遣会社)が中国市場で果たす役割 送り出し団体の活動、すなわち人材斡旋業の実態研究は、移民研究史では移民システム論におけるメゾレベルの研究の一つとして位置づけられる。現在、中国における海外への人材派遣会社の活動は、従来の政府機関や市が主体となった活動から、個人経営者が中心となる経営活動へと移行している。それは、海外人材派遣業が利益を生む業態であることを示していよう。その結果として、近年の派遣会社の活動には次の2つの特徴がみられる。(1)派遣会社は、自ら積極的に中国内陸部まで行き、農民へ海外派遣を勧誘している。既に都市で就労している労働力は日本派遣に不適と判断しているからである。(2)ビジネスとして派遣を行うために、人材の能力を日本側企業に保証するために、派遣前教育に熱心である。その中には、技能訓練以外に、生活規律訓練、体力訓練も含まれる。 以上から、派遣会社は中国労働市場で、新たな労働者の発掘と訓練を行っていることが分かった。
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