2009 Fiscal Year Annual Research Report
非正規労働者の組織化と労働運動の復興に関する日韓比較研究
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21530561
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
李 ミン珍 Rikkyo University, 社会学部, 教授 (10313496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 元重 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (30319016)
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Keywords | 正規労働者と非正規労働者間の連帯 / 労働者の異質性の増大 / コミュニティ・ユニオン / 格差改善 / 一般労組 |
Research Abstract |
日本と韓国の労組の、非正規労働者の組織化や正規・非正規労働者間の格差改善への取り組みに影響を与える要因として、4つの要因が重要である。1.労働者の移動性や異質性の増大、2.労組のアイデンティティ再考による労働者連帯の理念、3.非正規労働者の組織化への主体的参加、4.非正規労働者の格差問題やDecent laborについての社会的イシュー化。この分析枠組みに基づき、日本と韓国で非正規労働者の多い業種の労働組合を対象にインタビュー調査を実施した。日本では、UIゼンセン同盟、JSD、全労金、医療連、自治労(以上、産業別連盟)と、流通業のマルエツスーパー労組・マイカルユニオン・伊勢丹労組、飲食業のサンデーサン労組、製造業の全プリマハム労組・JMIUトムソン支部・鈴木シャッター支部、兵庫労働金庫労組、我孫子学童保育組合、武庫川ユニオン、なのはなユニオン、合計16組合をインタビューした。韓国では、金融労組と国民銀行支部、民主労総蔚山支部、金属労組現代自動車請負労働者支会、建設プラント労組蔚山支部、建設労組京畿中西部支部、イーランド一般労組、ニューコア-労組、釜山一般労組、医療連帯ソウル支部ソウル大病院分会、合計10組合をインタビューした。調査の成果としては、1.企業や職場における労働者の異質性の増大に対応して非正規職の組織化に取り組み、正規・非正規間の格差改善に一定の成果を出していること、2.非正規労働者の組織化により正規労働者と非正規労働者との連帯意識が深まり、非正規労働者への差別意識が弱まったこと、3.非正規労働者の組織化と格差改善への取り組みには組合執行部の強い意志があったこと、4.個人加盟組合のコミュニティ・ユニオン(日本)や一般労組(韓国)は、組合員数はまだ多くはないにせよ、未組織労働者や非正規労働者へ居場所を提供する役割を一定程度果たしていること、などがあげられる。
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Research Products
(2 results)