2010 Fiscal Year Annual Research Report
戦争体験を語りつぐ実践と継承される表象についての社会学的研究
Project/Area Number |
21530562
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
桜井 厚 立教大学, 社会学部, 教授 (80153948)
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Keywords | オーラルヒストリー / ライフストーリー / 戦争体験の継承 / 平和ガイド / 南風原町 / 家族成員間の継承 |
Research Abstract |
平成22年度は、平成21年度の調査研究の継続として、語りつぐ実践をしている団体に対して、主に次の三つの観点から、それぞれの調査協力者のライフストーリー・インタビューをおこない、トランスクリプトを作成するとともに関連資料の収集にあたった。(1)「沖縄観光ボランティアガイド友の会」のメンバー、(2)南風原文化センターに拠点をおくNPO法人「南風原平和ガイドの会」、(3)沖縄の平和ガイドに従事している若者とその家族。「南風原平和ガイドの会」は、NPO法人を立ち上げてから、平和ガイド通信を発行したり、戦争体験者の語りを絵本にまとめる活動を援助したり、また、最近では、南風原町自体をフィールドにまちおこしをも兼ねた平和ガイド活動に取り組み、精力的に活動の幅を広げてきている。この活動の一端を調査者も参加してフィールドワークをおこなった。こうした活動は、なによりも南風原町の行政や住民の理解と支持があることに支えられている。ところが、この活動の主要な担い手は町外の住民や県外の移住者である点は注目に値する。平和ガイドの実践が体験の記憶をもつ地元住民の思いとどのように絡んでいるかは検討を要する重要なテーマである。さらに、ガイドをしている若者の親世代へのインタビューから、家族のなかでどのように戦争が語り継がれてきているかの一端を知ることができたのは、成果であった。体験者の語りとともに、受け継いでいる戦後世代の語りを比較対照して分析する素地ができた。次年度は、まとめのとしにあたり、語りそのものの特質をあきらかにすること、体験的語りと継承されている語りの世代間の比較、および南風原町の平和ガイドが果たす機能、などを中心に成果をまとめる予定である。
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Research Products
(2 results)