2011 Fiscal Year Annual Research Report
戦争体験を語りつぐ実践と継承される表象についての社会学的研究
Project/Area Number |
21530562
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
桜井 厚 立教大学, 社会学部, 教授 (80153948)
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Keywords | オーラルヒストリー / 戦争体験の継承 / ライフストーリー / 平和ガイド / 南風原町 |
Research Abstract |
1.平成23年度は、前年度の調査研究を継続するとともに、日本オーラル・ヒストリー学会で研究成果の発表を行い、全体の研究成果をまとめる準備を行った。今年度の調査研究としては、以下の四点を中心に行った。(1)沖縄観光ボランティアガイド友の会のメンバーで、子どもの頃に戦争体験をしている体験者が.どのように若い世代に戦争体験を語り、またその講話を聞いた中高校生がどのような感想をもったか。(2)南風原文化センターに拠点をおくNPO法人「南風原平和ガイドの会」め活動と現在の問題。(3)アウシュビッツ国立博物館で唯一の日本人ガイドとして長年の実績をもつ中谷剛氏へのライフストーリー・インタビュー。(4)千葉県佐倉市における戦争体験を語りつぐ実践している語り部へのライフストーリー・インタビュー。 2.研究成果としては、第9回日本オーラル・ヒストリー学会大会で、研究協力員の石川良子氏、八木良広氏とともに南風原平和ガイドを中心にした語りつぐ実践について、また外国人特別研究員の張嵐氏とともに千葉県佐倉市での戦争体験のインタビュー報告を行った。学術論文としては、戦争体験や大惨事の体験を語れない背景がどこにあるのかを検討し、語り手のトラウマ的状況や聞き手の構えなどが影響することによって語れなくなる状況があることをあきらかにした。 3.現在、これまでのライフストーリー・インタビューをもとに、平和ガイドを中心にした南風原町の戦争体験を語りつぐ実践についてまとめ、また別に、体験者がどのように自らの体験を経験化して語る枠組みを作り上げているか、語りにいかにメディアや他のメンバーの情報が動員されているか、さらに語りの聞き手がどのような思いや意見をもったかを総合的に分析する調査報告を準備中である。
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