2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530565
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鳥越 皓之 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80097873)
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Keywords | 淡水 / 沖繩 / 湧き水 / 水問題 / 水利用 |
Research Abstract |
本年度は当該研究に関わって当然のことながら、沖縄を中心に調査をしたり、資料を収集しつつ、合わせて比較のためにこのテーマにとって有効な他地域の淡水の調査、湧き水や洗い場、河川についての環境社会学的調査を行った。 昨年からの調査の結果、本年は学会誌にこの課題にもとづく研究成果を発表することができた。すなわち「沖縄の泉水施設の変遷とムラの戦略」『村落社会研究ジャーナル』である。また、調査の過程で感じたことを新聞のエッセイで発表した。それはつぎのようなものである。「未来を照らす伝統の種子取祭」『八重山毎日新聞』2010/10/17である。 このように着々と成果をあげつつあるが、これはまだ調査をして集めたデータの一部にすぎない。今後、数年をかけて論文等の形で成果を発表することになるだろうと想定している。そもそも沖縄の淡水問題を典型として、日本の淡水の問題は量の問題とともに質の問題もある。量は淡水の量的不足であるが、質としては水質である。現在、とりわけ水源において水質を守ることが必ずしも政策として十分に機能していないので、この問題に対して、なにか有効な方法を見つける必要がある。 また、淡水の問題は、いわゆる飲料水としてとりわけその質が要求されるが、その質の保持のためには、文化の問題に関与せざるを得ないと考えている。人間の価値観の問題である。したがって、環境文化ということを視野に入れる必要も調査の過程を通じて痛感するようになった。沖縄の近代化はきわめてむずかしい課題だが、地元のコミュニティのなかで近代化がどのようになされているのかを丁寧にみる必要がある。
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