2010 Fiscal Year Annual Research Report
近世末期出産・出生指標の算出・評価研究―歴史人口学の精密化―
Project/Area Number |
21530572
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高木 正朗 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70118371)
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Keywords | 人別改帳 / 妊婦書上 / 過去帳 / 人口減対策 / 育子支援 / 出産・出生 / 過去帳 |
Research Abstract |
1. 「研究目的」。これは、初(平成21)年度と同様3点である。第1に前近代(18世紀末~19世紀後期)の日本人の出産・出生に焦点をしぼり、出産・出生史料、新規収集史料を活用して、これに関わる指標を算出する。第2に権力の人口減対策・出生促進策を解明する。第3に両者を架橋・対比し、政策の効果測定を試みることである。 2. 「研究実施計画」。これは、第1に新規史料収集、第2に既存データの整理(データベース構築)、第3に史料を翻刻し研究基盤を拡張することである。収集対象は人口史料(宗門改帳・人別改帳)、出産・出生・育児文書、死亡史料(過去帳)その他文書で、データ整理・史料翻刻は既収分を対象とし、効率的にすすめることである。 3. 「実施計画」の第1点は資料収集で、江刺郷土文化館・宮城県図書館・一関市市内の旧家にて、調査・整理・収集をした(津山の資料は研究費不足のため、見合わせた)。第3点は翻刻文書の作成とデータ化で、一関藩「赤子養育方御用留」、仙台藩「人数方御定留」(大肝入文書)のデジタルテキスト化をした(第2点は未着手)。 資料収集について若干のコメントを記す。筆者は、初(平成21)年度「実績報告書(3-1)」において、「三点セット(人別帳、妊娠書上、過去帳)が揃う事例は僅少」と記した。今年度はこの隘路の克服を目指した。しかしこの目標は、幾つかのやむを得ざる理由で未達成となった。その最大理由は、東日本大震災2011年3月11日)の勃発である。本研究にとり資料的価値が高いと期待した岩手県一関市では収集中断、訪問直前だった三陸沿岸地方(気仙沼、陸前高田、大船渡)では寺院・旧家・博物館が被災・流失、現在も資料収集の目途が立たないからである。従って次年度においては、全体計画を見直す必要があると推定している。
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