2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本で生活する難民申請者の生活状況と適応過程の把握
Project/Area Number |
21530579
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
森谷 康文 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (50455698)
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Keywords | 国際福祉 / 社会福祉NGO / 難民 / メンタルヘルス |
Research Abstract |
1、日本にエスニック・コミュニティがない難民認定申請のグループワークの参加観察 グループワークは,毎月2回開催され,参加する難民認定申請者が話し合いたいテーマを設定し,自由に語る形式をとった。協力機関のNGO職員と研究代表者がスタッフとして参加し,会場の設定と参加者の話し合いが進みやすいように支援した。話し合いは英語でおこなわれ,英語が理解できない参加者に対してはNGO職員が通訳をおこなった。参加者は平均6名,アフリカ地域,中東,南米出身者で構成された。 話し合われたテーマは,「仕事を探す大変さ」「政府からの保護費もなく困窮していること」「来日するまでの苦労」「日本で入国管理局に収容された体験」など日本での生活困難に関することが最も多く語られ,時には不安なあまり,興奮して大声をあげる場面もみられた。しかし,グループのなかで困難な体験を共有できたことや他の参加者からアドバイスをもらえたことなどに対する喜びも語られ,グループが情緒的支援や情報提供の場として機能している。 2、グループワーク参加者の個別インタビュー ほとんどの参加者が日本語に不自由で,そのために雇用されない,医療機関などの受診に援助が必要といった生活困難をかかえている。特に,生活が困窮しており,インターネットなども利用できない場合は,日本語のテレビなどからの情報が主で,理解が十分できずに不安であることが確認された。また,参加者のほとんどが友人も数人で,普段は家の周りを散歩する程度で,閉じこもりがちな生活をしていた。グループワークによって人間関係や「行くことの出来る場所」にひろがりがみられる。個々の参加者のグループワークに対する評価は概ね肯定的で,特に情報が得られること,他の参加者が自分と同じ困難を抱えていることを知り少し安心したなどの集団の相互作用による効果が確認できた。
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Research Products
(1 results)