2009 Fiscal Year Annual Research Report
一般高齢者における受療抑制とその予後に関する追跡研究
Project/Area Number |
21530585
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
村田 千代栄 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 助教 (40402250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 寛 日本福祉大学, 健康社会研究センター, 主任研究員 (20387749)
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Keywords | 受診抑制 / うつ / 地域在住高齢者 / 心理社会要因 / 死亡 / 要介護認定 |
Research Abstract |
治療が必要にも関わらず様々な理由で受診を控える者かいることが報告されている。必要な治療を控える結果より疾患が重い状態で受診することになり、予後が悪いとの指摘もある。しかしながら治療中断の予後についての研究はいまだ少ない。本研究では、自治体かち提供される死亡・要介護認定データを日本福祉大学の一般高齢者調査データ(AGFS)に結合することで、治療中断の結果、健康状態が悪化するのか否か、受診行動の関連要因は何かなどを明らかにすることを目的とする。1年目は、2003年の調査データに約4年分の死亡・要介護認定状況を結合し、自己都合で受診を控えた経験と社会経済的地位(教育年数、所得)や心身の健康状態、ソーシャルサポートの有無、その後の死亡・要介護の発生との関連などを検討した。 治療継続者に比べ、自己都合で受診を控えた高齢者では、男女とも要介護状態になるハザードが高く、男性で治療中断者の要介護認定ハザードは1.70.(p<0.05)、治療継続者は1.67(p<0.01)であり、女性では継続者の1.37(p<0.05)に対し中断者で1.40(p<0.10)であった。また、男性では死亡との関連も認められた。低所得者で治療を中断する者が多いため(高所得者6.7%に対し、低所得者9.2%)、所得を調整したモデルによる検討も行ったが、同様の傾向を示した。治療中断者に多い疾患は、関節疾患、視力障害、聴力障害、高血圧、排泄障害の順であり、生活の質に関する疾患の有病率が高かった。また所得が低い高齢者ほど、うつや主観的健康感が悪く、適切な介入のためには、治療中止に到る要因について、心理社会面からの多面的な検討も必要と思われた。また、20歳以上の全国代表サンプル(JGSS-2008)を用いた解析では、所得や教育程度が低いほど、医療に対する不安を多く抱えていた。なお、2006年調査データの横断解析では、低所得高齢者で費用を理由とした受診抑制が多いことを見出し、論文として発表した。
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Research Products
(6 results)