2011 Fiscal Year Annual Research Report
DV被害母子への心理的回復支援について:母子へのグループ療法アプローチ
Project/Area Number |
21530586
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
有園 博子 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70282366)
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Keywords | DV被害 / 集団精神療法 / 同伴児童 / 被害回復 / 家族機能再生 / 回復支援プログラム / 心理教育 / 地域支援 |
Research Abstract |
DV(ドメスティック・バイオレンス)被害者への支援は、福祉行政の中で初期支援(保護命令申請・緊急避難から自立生活導入まで)は整備されてきているが、その後の中長期的支援はいまだ十分ではない。新生活開始後も、母親の精神的回復の遅れや同伴児童の問題行動等で親子関係の相談に訪れる者は少なくない。そこで本研究の目的は、(1)DV被害母子への家族機能回復のための有効な中長期的支援方法を検証すること、(2)DV被害者支援の福祉相談現場を中心的に担っている女性問題相談員等が実行可能なグループプログラム(GP)を行うことで今後の福祉支援の質を高めることとした。対象:GP参加者は、暴力環境から避難後親子で新生活に移行した被害者(1G4~5名/年、H21~23年計3G)。GP実施者は、女性問題相談員2名(DV相談歴約10年)。研究者はオブザーバーおよびSVとして関与した。方法:カナダの地域支援プログラム「女性虐待に曝された子ども達のためのグループプログラム」を用いた。GPは、1クール10~11回(毎週1回90分、3カ月間)半構成的内容で構成。GP以外に個別面接を計4回(実施前、実施直後、4ヶ月後、1年後)実施。結果:ほぼ全員が継続参加(緊急入院をした1名を除く)。GP効果評価指標では、GP直後および4ヶ月後は、GHQおよびBDI-IIの値が低下する傾向が見られた。しかし1年後は、ライフイベントの影響で個人差がみられた。怒りや衝動性が顕在化している者は変化に乏しかった。自覚的なGPへの満足感は、「メンバーからの共感が得られ場を共有出来たこと」が最も多く、次に「子どもの気持ちを考えるようになった」「怒りや衝動性への対処方法を自宅で子どもにも行っている」などのことが確認された。なお、子どもグループに関しては、参加者および年齢のばらつきが大きかったため実施不可能であった。GP実施者は、年々アプローチの仕方が変化し、よりグループ参加者の全体像を見ることができるようになった
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