2010 Fiscal Year Annual Research Report
新たなコミュニティワークの理論および実践に関する研究ーアメリカでの取り組みから
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21530587
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲葉 美由紀 九州大学, 大学院・言語文化研究院, 准教授 (40326476)
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Keywords | コミュニティワーク / 地域福祉 / 実践モデル / コミュニティワーカー / 社会福祉協議会 / 日本 / コミュニティ形成 / 社会開発 |
Research Abstract |
今年度(中間年)の研究実施計画はほぼ予定通り行うことができた。福岡県地域福祉活動職員連絡会主催の研修事業2010「コミュニティワーカー養成研修会」に講師として、約20名の地域福祉に携わっている社協職員を対象に、(1)コミュニティワーカーの役割を学ぶ-8つの領域、(2)事例研究(社会計画と機能的コミュニティの組織化)、(3)事例研究(近隣及びコミュニティの組織化とプログラム開発とコミュニティの連絡調整)、(4)まとめ-コミュニティワーカーに求められるもの、の内容を中心に研修会へ参加した。日本におけるコミュニティワーク(CW)の現状を把握するツールとしてM.ウェルの8つのCWモデルを分析の枠組みとし、参加者の活動内容を整理した。初回の研修で、参加者(19名)ヘコミュニティワークに関するアンケート調査(支援対象、必要なスキル、CWを推進する上で心掛けて行くこと)およびグループインタビューを実施した。アンケート調査から、CWの対象者は高齢者、障害者、子ども、当事者、近隣組織が多く、ワーカーが考える必要なスキルとして、調査・計画・評価、ネットワーキング、組織力、行動力、コミュニケーション、政治的技術などがあげられた。従来のサロン、小地域ネットワーク、地域活動計画、近隣・多様な小グループの組織化は実践されているものの、新たなニーズを抱えているホームレス、外国人、依存者、1人親世帯などへの実践および個別のニーズからCW実践へ展開されていない現状が浮き彫りになった。ウェルのモデルと参加者の活動内容を比較した結果、特に政治的・社会的運動の活動がほぼ存在しておらず、CWの活動範囲が政策への働きかけまで至っていない。その理由として、日本型CWにおいて政治的側面は馴染みの少ない活動であることがあげられるが、一方ではその必要性も確認された。また、グループインタビューでは、社協の組織的課題として、存在意義、コミュニティワークに対するサポート体制、組織内における情報交換、事例研究や研修会、行政との連携などの課題が明らかになった。
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