2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21530596
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
京林 由季子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (20234396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 かおり 鶴見大学, 短期大学部, 教授 (50259199)
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Keywords | 知的障害 / ダウン症 / ストレス / 唾液アミラーゼ / 生涯発達支援 / 成人期 |
Research Abstract |
<研究1> A入所型施設における日中活動のグループ(DS7名、MR6名)から、ダウン症者7名(30代~50代、男性3名、女性4名)を対象として、支援者への質問紙調査、行動観察、唾液アミラーゼ活性値の測定を断続的に3日実施した。対象グループは、早期退行、早期老化などにより施設での作業活動への参加が難しくなった利用者を対象として機能維持を目的とした活動を行うものである。全般的結果としては、個人差が大きいこと、質問紙及び行動観察からアミラーゼ活性値を解釈することが困難な事例が多いことが示された。事例的には、生活リズムも整っているため生活ストレス得点は低かったものの、ここ1年で言葉数の減少、最近2~3週間で活発さの減少が見られたX氏ではアミラーゼ活性値は高値を示し、時には異常に高い値を示した。一方、生活ストレス得点の高かったY氏ではアミラーゼ活性値は低く、その変動幅もごく小さいものであった。30代において寡黙、不活発の症状が現れているX氏と、50代で老化による症状が現れているY氏との違いや、X氏は感情を抑圧しているが、Y氏は、不適切な表現(泣く、他害など)ではあるものの感情の表出をしていることとの違いが影響しているものと考えられた。 <研究2> Bデイサービス事業における作業活動グループ(11名:DS4名、他7名)(20代~50代、男性5名、女性6名)の利用者を対象として、利用者への内省報告(聞き取り)、行動観察、唾液アミラーゼ活性値の測定を4日間継続して実施した。対象グループは、比較的元気な利用者を対象として、立って行う作業活動に一定時間従事するものである。計19回の唾液アミラーゼ活性値の平均は、DS者94KU/1、DS者以外67KU/1と、ダウン症者で高い値を示す人が多かったが、利用者により日中活動時のアミラーゼ活性値の変動は異なっていた。しかしながら、研究1の対象者と異なり、行動観察等から日中活動時のアミラーゼ活性値の個々の解釈は比較的容易であり、支援者への聞き取りとも一致する傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中高年の知的障害者に対する唾液アミラーゼ活性値の測定は、2施設の協力により当初の予定を若干上回る人数のデータの収集ができた。また、機能低下の激しい対象者では、日常の問題状況の有無と唾液アミラーゼ活性値により測定されるストレスとは必ずしも関連している訳ではないこと等の、知的障害者の唾液アミラーゼ活性値の測定・解釈における課題があることを事例的に示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで蓄積した知的障害者の唾液アミラーゼ活性値のデータを踏まえて、成人期の知的障害者のストレスの特徴について考察を進める。さらに、ストレスの特徴を踏まえた施設や家庭における成人期の知的障害者の生活支援の視点、早期老化や急激退行の予防・ケアのシステムや内容について文献を収集し検討する。研究成果についてまとめ、次年度の関連学会発表の準備をする。
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Research Products
(3 results)