2009 Fiscal Year Annual Research Report
エンパワメントベースの退院支援モデルに関する実証研究
Project/Area Number |
21530617
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
田中 千枝子 Nihon Fukushi University, 社会福祉学部, 教授 (40276861)
|
Keywords | エンパワメント / 退院支援 / ソーシャルワーク / 支援モデル / 実証研究 |
Research Abstract |
文献・論文の収集を行い、医療ソーシャルワーカーの退院支援の内実を軸に歴史的変遷を分析した。時代区分は5つで、まず発生時から退院支援が主課題であったことを文献にて確認した。また当時経済的問題への対処が主なる関わりであった。それが第2期として、高度経済成長と皆保険、老人医療無料化の中で、退院支援がすべてのソーシャルハイリスク患者群へと対象拡大が行われた。第3期はさらに高齢化が進み、社会的入院への社会的関心が高まり、病病・病診連携が唱えられたが、個別の1病院での退院支援にとどまった時期である。4期になって社会福祉基礎構造改革および介護保険の成立などで、組織や地域への関心が高まり退院計画の概念が導入された。5期では精神保健や障害の分野で発生した地域移行という概念が退院支援と結びつき、地域医療連携の中で退院支援が語られるようになった。 一方で退院支援の実態として、制度化の進展とともに援助がシステム化されマニュアル化され、支援としての価値や専門職としてのアイデンティティーにゆらぎが生じるようになった。その葛藤は業務に占める退院支援の割合や介護保険におけるケアマネジャーとの新たな関わり、退院支援の診療報酬化などの流れに対して多くの実践報告や研究がなされていることから推論できる。その現状認識から退院支援でMSWが何を大切にするべきなのか、何を根拠にして支援を組み立てているのかの調査を設計した。 さらに従来研究を進めていたエンパワメントベースの退院支援モデルによるアセスメントツールの実用化に向けて、全国10か所の研究協力が得られた病院とその所属のMSW38名に対して、合計89事例に使用してもらい、その使用感についてヒヤリング調査を行った。結果ツール使用に技術が必要であるが、成功すれば、従来支援内実とは異なるエンパワメントの効果が十分に発揮できることがわかった。
|
Research Products
(3 results)