2009 Fiscal Year Annual Research Report
「地域の福祉力」開発システムの構築と市民の主体性を引き出す専門性に関する研究
Project/Area Number |
21530621
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
藤松 素子 Bukkyo University, 社会福祉学部, 教授 (40261721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
所 めぐみ 佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (00411281)
金田 喜弘 佛教大学, 福祉教育開発センター, 講師 (10411109)
岡崎 祐司 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (40257803)
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Keywords | 地域福祉政策 / コミュニティワーク / 地域福祉課題 |
Research Abstract |
地域福祉政策に関する動向については、主に京都府と兵庫県における調査において把握に努めた。各自治体で策定されている地域福祉計画の特徴としては、障害・高齢・児童等の領域別社会福祉サービスの実施状況、住民主体の小地域福祉活動の実施状況等をふまえたものとなっているが、自治体、社協等の役割が曖昧であることが多く、何より地縁組織をコアとする住民主体の地域福祉活動の活性化に過大な期待を寄せて展開されていることは地域社会において住民同士が疎遠である現状と大きく乖離していることか明らかになった。とりわけ、介護保険法、障害者自立支援法に基くサービス利用形態が一般化している中では、地域住民相互の連携・連帯は想像以上に困難であり、とりわけ貧困問題、ホームレスの増大、孤独死の増加、いじめやひきこもり問題等々の深刻な課題に対応していくには限界がある。 こうした地域社会の現状に対して、新しい社会福祉システムに適合的な「地域の福祉力」の開発方法のてがかりとして、京都府下、兵庫県下の先進的な取り組み事例の分析を行った。その結果、多様な地域福祉課題について総合的に取り組んでいる事例においては、地域福祉推進計画を住民参画の下に策定し、小地域福祉活動や当事者組織の組織化・支援や総合相談活動等に積極的に取り組み、幅広い活動諸団体との連携に力を注いでいるという特徴をもっていることが明らかになった。こうした事例におけるコミュニティワーカーの果たす役割とその方法についての分析が次なる課題となる。 また、イギリスにおけるコミュニティワークをめぐる動向分析のために現地調査を実施した。バッチシステムを実施していた時代にコミュニティワーカーとして活躍した専門職と、当事者組織へのインタビューを通じて、コミュニティワーカーの幅広い専門性の獲得とその実践方法について多くの示唆を得た。更に、韓国における地縁組織の現状と近年の地域福祉課題、およびその担い手の現状について理解を深めるために、海外の研究協力者である呉英蘭氏を招聘して行った研究会においては、社会福祉館、地域社会福祉協議体、社会福祉協議会、NPO等の役割と課題について集中的に検討することができ、地縁組織と社会福祉組織、多様なアソシエーションをつなぐコミュニティワークの手法について多くの示唆をえることができた。こうした国内外の事例分析を深めながら、次年度に向けて予備調査を行いつつ、本調査にむけての準備を進めているところである。
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