2009 Fiscal Year Annual Research Report
ひきこもる若者の社会的支援策の研究-ケースコントロール・スタディを用いて-
Project/Area Number |
21530625
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山本 耕平 Ritsumeikan University, 産業社会学部, 教授 (40368171)
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Keywords | ひきこもり / ポスト青年期 / 社会参加 / 発達史 / ケースコントロール・スタディ / 韓日比較 |
Research Abstract |
2009年度は、主に居場所実践を展開する和歌山市の共同作業所Aのメンバーを対象としたケースコントロール・スタディを実施した。この調査では、Aのメンバーであり、Aを活用したあるいは活用中の若者を以下のように分類し実施した。第1グループは、なんらかの国家資格やヘルパーの資格を持ち、現在、支援者として関わっている者達である。第2グループは、現在、大学や高校に進学し自己の進路を見出そうとしている者達。第3グループは、社会に参加することは困難であるが、ピアスタッフとして他のひきこもる若者に関わっている者達。第4グループは、他者と関わることは困難であるが、居場所に参加することが可能な者達。第5グループは、自宅にひきこもっている者達である。 これらの者を対象に、幼児期から青年前期までの生活や発達との関わりでインタビュー項目を設定し、ケースコントロール・スタディを実施した。同時に、全員にGHQ28とSTAIを実施した。そこで得たデータを、各グループでGHQ28健康群と非健康群に分け(カットオフ7点)、生活上の事実をどのように受け止めてきたのか、あるいは、その事実が発達にどのような影響を与えているのかの分析を進めている。その分析を加える事実は、各発達段階で体験する"同年齢集団参加を含む集団参加""同年齢集団参加への不安""同年齢集団の否定""孤立""漠とした不安""見捨てられ感"等である。 また、ひきこもりと社会構造との関わりを分析する為に、韓国の研究者と共同研究を実施している。今日、韓国で生じている若者の課題は、我が国の1980年代に特徴的に生じた家庭内暴力や家出である。韓国の若者達は、今、競争主義社会の只中におかれている。この韓国の状況と我が国の状況をさらに比較分析することが求められる。韓国では、2010年度に、家庭内暴力と家出の若者を対象とし、我が国で行ったケースコントロール・スタディを実施しGHQ28を用いた分析を行う予定である。
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