2011 Fiscal Year Annual Research Report
ひきこもる若者の社会的支援策の研究-ケースコントロール・スタディを用いて-
Project/Area Number |
21530625
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山本 耕平 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40368171)
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Keywords | ひきこもり / ケース・コントロール・スタディ / ポスト青年期 / 発達史 / 社会参加 / 韓日比較 |
Research Abstract |
今年度の研究成果を,その目的から次の三点で報告する。 09年度,10年度にインタビューを実施したひきこもり事例(共同作業所モデル17事例、サポートステーション活用事例10事例)を、支援介入と自己の向き合いに焦点を当て定性分析を行う.この結果,若者がひきこもる過程で中核となる支配的な価値観を明らかにすることが可能となった.さらに,その発達過程において若者達のいきづらさが形成されるプロセスを彼らの語りから整理することが可能となった. さらに,支援介入の内、居場所支援とアウトリーチ支援に限定し、事例分析を行うなかで発達史と支援が展開された時期に焦点をあて効果を検討した.しかし,この効果検討に関しては,なにをもってひきこもり支援の効果とするのかを明確にする必要があり,まだ今後の課題とすることがある. WHOは,ICF策定作業につき,生まれてから20歳になるまでの間(児童青年期)は,身体的にも心理的にも,また社会とのかかわりにおいても,急激に成長・変化する存在であり,障害の発現や慢性的な状態は,児童青年期にとって、成人以上に大きな影響を及ぼすものであるという考えに立っている.ひきこもり研究においてICFに立脚するアセスメント項目検討も,この考えに基づくものである.今年度の研究では,一定の試行的アセスメント項目を提示し,居場所において施行した.しかし,その実効性については,今後、多くの現場で実践的に活用し検討することが必要である。
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