2011 Fiscal Year Annual Research Report
DV被害者のニーズに基づく支援のあり方と自立支援策に関する研究
Project/Area Number |
21530627
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
吉中 季子 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (70434800)
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Keywords | DV被害者 / ドメスティックバイオレンス / 民間シェルター / 生活再建 / 自立支援策 / 緊急一時保護 / 母子世帯 / DV防止法 |
Research Abstract |
平成23年度は、最終年度として、これまでの訪問調査のまとめを行った。また前年度の継続として個別的に民間シェルターのヒアリング、DV防止法による基本計画のまとめの分析を行った。さらに、国内のDV施策を概観、比較検討するために、DVシェルターの先進的モデルと思われるデンマークを訪問調査した。 (1)民間シェルターのヒアリング先は、都市部にあるIシェルターのヒアリングを行った。DV防止法の対象になる女性のみならず、外国人女性や、子ども(おもに息子)からの暴力、同性愛者からの受け入れの実績もあり、女性個人としての受け入れを行っていることが特徴であった。 (2)基本計画の分析では、各都道府県のほとんどが第2次計画に入り、実施されているところで、第3次の基本計画を策定中のところも多い。分析についてはさらに進めることが今後の課題である。 (3)デンマーク調査では、デンマークのシェルター(危機センター)のほとんどが所在地を公開していること、日本では支援の対象外とされがちな子どもへのケアを重視していたこと、警察との連携が密接であることなど、日本が学びうるべき実践が多くみられた。 支援団体などの現場ではこれらの課題を取りまとめ、DV防止法の法改正に向けて、全国の現場からの意見を取りまとめ、制度の改善を要請するなどの活動も行っていた。DV防止法は画期的な運動のなかで成立したが、政策範疇という点でみれば、限定した対象者のみであり、支援の対象とならない不可視の人も存在している。そのような人びとへの対応が今後の課題となろう。
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Research Products
(1 results)