2009 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの知る権利擁護におけるライフストーリーワークのあり方
Project/Area Number |
21530634
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
才村 眞理 Tezukayama University, 心理福祉学部, 教授 (50319919)
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Keywords | 子どもの知る権利擁護 / ライフストーリーワーク / 真実告知 / 児童福祉施設 / 生殖補助医療 |
Research Abstract |
子どもの知る権利を擁護するための理念、技術、方法について研究した。知る権利の擁護のための方法として、英国の実践を学び、日本の社会的養護にある子どもへの実践方策を研究した。生まれた親から離れて施設で暮らす子どもへの真実告知がなされず、自分は誰から生まれ、なぜ施設に入所したのか等について知らない子どもが多いこと、生い立ちを整理し、子どもの自尊心を築く必要があるため研究した。1.英国で実践されているライフ・ストーリー・ワーク(以後、LSWと記す)の実践方法(子どもに信頼できる大人が定期的に時間を取り、自身の生い立ちについて辿る作業を共にすること等)及び実践上の課題(LSWは治療でなく、ソーシャルワークである。実施者はスーパービジョンを受ける必要がある等)、子どもへの効果(実施により未来を力強く生きる方向付けができる等)を研究した。BAAF(養子縁組里親委託協会)の実践者を招聘し実践を学んだ。また、"Life Story Work"(Tony Ryan & Rodger Walker 2007)を翻訳し、日本での実践者用のマニュアルとした。2.児童相談所職員対象に子どもの知る権利及びLSWについての研修を行った。その際のアンケート調査により、知る権利の擁護について実践する風土の高まりが伺えた。また、LSWについて実践の意義についても理解が示された。3.児童福祉施設職員へのインタビュー調査を行い、日本での実践の条件を研究した。全回答で、子どもの知る権利はある、またLSWの意義については認めるであったが、実践については、子どもの行動化が予想され踏み切れない、実施者に躊躇があるとする回答もあり、実践のマニュアルや訓練の必要性が出ていた。また、実践には施設と児童相談所、親との連携が必要であると出ていた。4.生殖補助医療で生まれた人へのインタビューにより、ずっと出生の真実が秘密であったことへの怒りやアイデンティティの混乱そして、出自を知る権利擁護の必要性が抽出された。
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