2009 Fiscal Year Annual Research Report
児童虐待と親のメンタルヘルス問題の関連性についての実証的研究
Project/Area Number |
21530636
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
松宮 透高 Kawasaki University of Medical Welfare, 医療福祉学部, 准教授 (10341158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八重樫 牧子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (80069137)
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Keywords | 児童虐待 / メンタルヘルス問題 / 児童福祉施設 / ファミリーソーシャルワーク / 精神保健福祉士 / 連携 / 児童相談所 / 保健師 |
Research Abstract |
当該年度において実施した研究と成果は以下の通りである.量的調査としては,(1)児童福祉施設入所児童におけるメンタルヘルス問題のある親による被虐待児童(以下当該児童)の入所比率等に関する調査,(2)児童相談所等における当該児童に関する相談件数等に関する調査,(3)精神保健福祉士における当該児童およびその親への支援経験や意識に関する調査,(4)保健師における当該児童およびその親への支援経験や意識に関する調査を実施した.これにより,児童福祉施設および児童福祉相談機関における実態把握と支援者の意識把握を進めることができた.これらについては2年目に詳細な分析と報告をする予定である.さらに,当該児童およびその親への支援を地域の他職種協働チームで行っている先駆的活動事例に着目し,質的調査として(5)支援スタッフへのグループインタビュー調査,(6)そのサービスを利用している当事者へのインタビュー調査を実施した.支援展開上,メンタルヘルス問題を特別視せず生活課題のひとつとして相対的に捉えて関わること,チーム内の相互支援や関係性が重要な意義を持つことなどの重要性が示唆されたほか,当事者の問題認識からはメンタルヘルス問題そのものよりも当事者の認知や問題対処スキル上の困難が児童虐待を結果的に招いている可能性があることなどが明らかとなった.今後の支援方策検討に大きな意義のある知見が得られたと言える. 従来この問題については病理的な側面からのアプローチが中心であったが,ソーシャルワーク支援の視点から再検討を行うことで新たな支援課題が提示できる可能性が示唆された.またこの問題に関する児童福祉現場における対応上の困難や体制整備・支援技術開発・機関連携などの課題も明らかとなり,今後の研究展開上の方向性も明らかにすることができた.
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