2009 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスの認知症ケアの職業資格と訓練効果に関する研究
Project/Area Number |
21530640
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Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
三富 道子 University of Shizuoka,Shizuoka College, 准教授 (80300177)
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Keywords | イギリス / 認知症ケア / 職業資格 |
Research Abstract |
認知症高齢者に対するケアの充実は、今日先進諸国における共通の課題である。イギリスにおいても高齢者人口の増加とともに、大きな社会問題である。イギリスの保健省は、こうした背景から、2009年2月に政策文書『認知症とともに上手に生活すること:認知症戦略』を発表している。この文書の目的の中で、認知症についての啓蒙活動や早期診断、介護者のためへの良質な情報の提供等とあわせ、ケアホームで認知症とともに上手に生活することを掲げている。 研究の初年度である本年度は、認知症ケアの政策重点が、施設ケアからコミュニティケアへの転換から始まり、個室化に代表される居住条件の改善、認知症ケアの担い手である職員の職業能力へ変化を遂げていることから、まず、エジンバラ市内にある公立及び民営の認知症高齢者が入居する2つのケアホームの実態を見学するとともに、職員の職業資格及び認知症ケアの教育訓練内容の聞き取り調査を実施した。 これらの施設は、いずれも全室個室でユニット型施設である。職員の認知症ケアのための職業訓練は、スコットランドのスターリング大学(University of Stirling,スターリング市)附属認知症サービス拡充センター(The Dementia Services Development Centre, DSDC)と連携し、実施している。民営のケアホームは、これ以外にケアホームを運営する企業自身が有する認知症ケアを担当する職員研修のための、カリキュラムを有する。 ケア基準に関する2000年法に定められる職業資格との関係では、スコットランド職業資格(Scottish Vocational Qualification, SVQ)レベル2~3を有する職員が、民営施設では全員有しており、公立施設では有資格者が無資格者を指導していた。ケア基準法が、確実に職員の資格取得に作用し、介護の質の向上に向かっているといえる。
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