2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会関係が高齢者のウェル・ビーイングに与える効果の差異に関する研究
Project/Area Number |
21530649
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
小林 江里香 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10311408)
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Keywords | 抑うつ / 生活満足度 / 社会的ネットワーク / ソーシャル・サポート / ジェンダー / 高齢者 |
Research Abstract |
本研究は、性別、年齢などの個人属性によって、高齢者の社会関係の多寡や、社会関係がwell-being(WB)に与える効果がどのように異なるかを明らかにしようとするものである。 平成22年度は、まず、首都圏郊外のW市の地域高齢者を対象とした調査の分析より、同居者の有無と性別で分けた4群の高齢者における社会関係と抑うつ、および両者の関係における差違を検討した。その結果、グループ参加者ほど抑うつが低い傾向は共通していたが、別居親族や友人・近所の人との接触と抑うつとの関連の仕方は、性別だけでなく同居者の有無によっても異なっていた。独居男性の場合、親族・非親族との対面接触や、グループ参加、就労によって社会とのつながりをもつ人ほど抑うつが低い傾向が他群以上にみられた一方、実態としては、最も社会関係が乏しく抑うつ度が高い傾向があり、社会的孤立を防ぐための介入対象として優先度が高い集団であることが示された。 次に、全国の高齢者を対象とした3波の縦断調査データ(1999~2006年)を用いて、社会関係が3年後、7年後の身体的WB(死亡、ADL/IADL障害)と心理的WB(抑うつ、生活満足度)に及ぼす影響を、対象者の年齢(前期・後期)と性別の4群で分析した。どの群でも友人等との対面接触頻度が高いほど3年後の生活満足度は高かったが、子どもとの同居や接触頻度の効果は一貫しなかった。グループ参加については、前期女性と後期男性において生活満足度へ正の効果があり、後期男性では身体的WBへの効果もみられた。身体的WBにとってサポートの提供は正、手段的サボートの受領は負の効果を及ぼす可能性が男女とも示された一方、女性については、サポート受領が心理的WBを高める傾向もみられ、男女で違いもあった。ただし、この点については誰からサポートを受けるかが男女で異なることが影響していた可能性もあり、さらに検討が必要である。
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