2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530653
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 俊和 Nagoya University, 大学院・教育発達科学研究科, 教授 (70131216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 寛之 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (70449453)
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Keywords | 集合的有能感 / 社会化 / 向社会的行動 / 社会的逸脱行動 / 地域間階層的データ / 社会的情報処理 / 地域内交流 / 地域への愛着 |
Research Abstract |
社会指標(犯罪率や居住の安定性レベル)の異なる複数の地域間で、集合的有能感・地域住民の交流頻度・地域への愛着などが異なることにより、子どもの社会化にも違いがみられ、結果として、彼らの社会的行動に影響を及ぼしているというモデルの検証を試みた。方法として、A県内の市町村を自治体の統計指標からクラスター分析し、代表的な5つの地域を抽出した。教育委員会と協力し、5つのクラスター地域ごとに複数中学校30校へ調査を依頼した。質問紙の構成内容は、社会的凝集性・信頼と非公式の社会的統制からなる集合的有能感、地域住民同士の公的および私的な交流頻度、子どもが持つ地域への恩義と愛着、社会化の指標である社会的情報処理と社会的自己制御、社会的行動としての向社会的行動や反社会的行動である。項目数が多いため2種類の質問紙を作成した。この他、教師に対しても勤務地域に対する質問紙を実施した。学会発表での分析結果は以下の通りである。(1)1次抽出単位内(Withinモデル=個人)と1次抽出単位間(Betweenモデル=学校)にデータを分割し、多段共分散構造分析を行ったところ、学校レベルの分析では、学校間の集合的有能感が、その校区に住む生徒の認知的歪曲や逸脱行為の悪質性を軽視する分散を有意に説明した。(2)公的および私的交流は、集合的有能感の下位2因子を醸成していた。(3)地域住民との公的交流や私的交流は地域に対する愛着を形成させ、結果として向社会的行動を予測した。私的な交流は、直接、向社会的行動をも予測した。子どもの社会化に関して、社会環境要因である地域がどのように影響するかというテーマに対し、最初の一歩を示すことができた。
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Research Products
(5 results)