2010 Fiscal Year Annual Research Report
違反行動の発生メカニズム解明と、違反防止教育プログラムの確立
Project/Area Number |
21530655
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
臼井 伸之介 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00193871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 友一郎 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (30513147)
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Keywords | 社会心理学 / 危機管理 / 違反行動 / ヒューマンエラー / 看護 |
Research Abstract |
平成22年度研究の概要は以下の通りである。 平成21年度実施した質問紙調査の分析を行った。調査対象は6病院に所属する現役看護師219名で、有効回答数は200であった。得られた主たる結果を以下に記す。 1. 客観的リスク、客観的ベネフィット、時間的圧力、社会的圧力が違反生起の及ぼす影響を検討するため、違反の敢行意図得点を従属変数に分散分析を行った。その結果、社会的圧力以外の3要因で主効果が見られ、客観的リスクが小さい状況、客観的ベネフィットおよび時間的圧力が大きい状況で、違反の敢行意図が増大することがわかった。 2. 客観的リスク、客観的ベネフィット、時間的圧力、社会的圧力がリスク評価およびベネフィット評価に及ぼす影響を検討した。リスク評価得点を従属変数に分散分析を行った結果、客観的リスクのみに有意な主効果力弐見られた。一方、ベネフィット評価得点を従属変数に分散分析を行った結果、客観的リスク、客観的ベネフィット、時間的圧力、社会的圧力のすべての要因に有意な主効果が見られ、客観的リスク小設定、客観的ベネフィット大設定、時間的圧力大設定、社会的圧力小設定でベネフィット評価得点が有意に高かった。 3. 変数間の相関値を算出したところ、リスク評価と敢行意図評価に有意な負の相関、ベネフィット評価と敢行意図評価に有意な正の相関、リスク評価とベネフィット評価に有意な負の相関が得られた。 以上の結果から、違反は客観的リスクが小さく、客観的ベネフィットが大きい状況、また時間的圧力が大きい状況で敢行されやすいことが明らかとなった。またリスク評価は客観的リスクからのみ影響を受けるのに対し、ベネフィット評価は客観的ベネフィットだけでなく、客観的リスク、時間的圧力、社会的圧力からも影響を受けることが明らかとなり、今後の違反防止対策を講じる上で重要な示唆を得た。
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Research Products
(12 results)