2010 Fiscal Year Annual Research Report
老年期の社会的非適応に関する基礎的研究-引退期の不安定就労・逃避・犯罪の実相-
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21530660
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
細江 達郎 公立大学法人 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (70004059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 嘉夫 公立大学法人岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (20073033)
青木 慎一郎 公立大学法人岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (60305282)
小野澤 章子 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (30291850)
糸田 尚史 名寄市立大学短期大学部, 児童学科, 教授 (90352484)
細越 久美子 公立大学法人岩手県立大学, 社会福祉学部, 講師 (90311894)
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Keywords | 社会系心理学 / 老年期 / 社会的非適応 / 職業的社会化 / 高齢者犯罪 |
Research Abstract |
本研究は(1)下北半島出身者を対象とした縦断的調査と、(2)岩手県での高齢者犯罪の要因に関する調査を行うことで、社会的非適応の様態を総合的に分析するものである。 22年度は(1)は、前年度実施した所在不明者の確認を主な目的とし、22年8月関東地域で面接調査を行い、さらに未確認の対象者の確認作業を行った。今回の調査での対象者および関係者の対応は、これまでの追跡調査(特に都市での調査)とは異なった。過去、関東などでの所在確認調査では、関係者から大概、拒否され、非協力的であった。しかし、今回は、埼玉や神奈川の住宅地のみならず、都市中心部の銀座の貸ビルにおいても、高齢対象者の行方不明者への関心は高く、相当の手間をかけて探索に協力してくれた。北海道の根室市でも同様の体験をした。地元会社を退職後数年連絡のない対象者について、元雇用主が、数年来連絡が途絶えひとり暮らしで相当困窮していた対象者を探し出し、大家などと協力して公的機関と相談し、その結果対象者本人の障がいの程度や経済状況に見合った処遇がなされるようになった。孤独死、無縁社会が嘆かれているが、この調査では地方はもちろん都市部でも人々は本質的に他者に無関心ではなかったことが明らかとなった。関心を表現し、実行する手段を学んでいない場合が多く、報道などで共通テーマとしてそれが顕出(salience)されたとき、人々は行動を起こす。今はこうした調査の好機であることを再認識させた。 (2)に関しては、高齢者の万引きを中心に対策をおこなっている大船渡地区を調査した。論文(山崎・細江)にあるが、大船渡署管内という比較的中規模の地域のため、被害商店・スーパーを含め、関係者の連携が緊密にとれ、本研究者も参加して、万引き防止協議会を設置した。この連携は万引き抑止に相当効果があり、前年同時期と比較し半減していた。取り組みは震災で中断したが、23年度県内全体に拡大することとなった。
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Research Products
(4 results)