2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530667
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡部 幹 Waseda University, 高等研究所, 准教授 (40241286)
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Keywords | 実験ゲーム / 信頼 / 社会的交換 / 脳イメージング / 表情認知 / 後悔 / サンクション / 協力 |
Research Abstract |
09年度は、他者と社会的交換関係を結ぶか否かを判断する際に、人が参照するすると思われる情報の効果について6つの実験を行い、うち5本を国内外の学会で、また以前の研究データと併せた2本の英文論文として発表した。 具体的には、1)相手の相貌や表情、2)相手の過去の同じ状況での行動履歴、3)相手の過去の同じ状況にいる他者に対する行動、4)相手の過去の全く違う状況での行動、5)相手の過去の全く違う状況での感情表出、を独立変数とし、その相手への信頼を従属変数とした実験群であった。また、その一部の実験では日米比較も行い、他者の情報を得る必要のあるときに、それぞれの文化的・社会的環境を反映した形での情報取得を行うことがわかった。特定の他者との長い関係を志向する日本では、人は他者が過去に長期的な関係においてどのようにふるまったかの情報を重視するのに対し、人同士の関係が短期的で流動的なアメリカにおいては、人は他者が過去に短期的な関係においてどのようにふるまったかの情報を重視する傾向にあることが明らかになった。 上記の実験に加え、他者を信頼するかどうかを相手の過去の違う状況での行動履歴から判断する際に、脳のどの部分が賦活するかをfRIによって調べるイメージング実験も行った。そのデータは09年度の終わりから解析中であり、これまでのところ、他者信頼判断の際の脳賦活パターンは心の理論課題のときのそれとほぼ一致することが分かった。その他、相手が信頼に足る、という情報を得た時と、信頼できない、という情報を得た時には、強く賦活する部位が異なることも明らかとなった。これらの知見は、10年度に学会および論文にて発表する予定である。
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