2009 Fiscal Year Annual Research Report
対人コミュニケーションにおける顔面皮膚血流変化に関する研究
Project/Area Number |
21530673
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
廣田 昭久 National Research Institute of Police Science, 法科学第四部, 室長 (40266060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 時洋 科学警察研究所, 法科学第四部, 主任研究官 (60392263)
松田 いづみ 科学警察研究所, 法科学第四部, 研究員 (80356162)
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Keywords | 対人コミュニケーション / 顔面皮膚血流量 / 感情 / 観察者 |
Research Abstract |
感情喚起時の顔面皮膚血流量変化と対人コミュニケーション状況との関係性について検討するため、顔色の変化が生じると推測される感情を中心に、観察者の有無の条件を設定した上で、感情喚起ビデオ視聴時の顔面皮膚血流量について検討した。成人男女20名(データ欠損のため、うち1名は分析から除外)を観察者有群・無群の2群に分け、Rottenberg et al.(2007)に基づき、Amusement、怒り、恐怖、驚愕、中性の各感情を喚起する5つのビデオを作成した。レーザードップラー血流計を用いて前額部と頬部の皮膚血流量を測定し、同時に他の心臓血管系等の自律神経系反応を記録した。30秒の安静期間を経て、実験者前方の壁面にビデオを映写し、各種生理反応を計測した。また、映写後にはビデオ視聴時の感情状態を感情尺度を用いて計測した。観察者有群においては、ビデオ視聴時の様子を、実験参加者斜め前方に着席する観察者が記録した。観察者無群では、実験参加者のみがビデオを視聴した。 ビデオ視聴時の各指標は1秒ごとに平均され、各秒において観察者有・無群間の差が検討された。その結果、Amusement、怒り、恐怖ビデオ視聴時には、観察者のいない条件に比べ、観察者のいる条件でより高い皮膚血流量が示された。他の生理指標については、観察者の有無による差は見られなかった。この結果は、感情喚起時の顔面皮膚血流量が、対人コミュニケーション状況において増大することを示唆している。ビデオ問の比較から、Amusementビデオにおいては、顔面皮膚血流量変化に与える観察者の有無の効果が大きいのに対し、驚愕、中性ビデオでは、観察者の有無の違いはほとんど見られなかった。また、頬部よりも前額部でより明瞭に観察者の有無の効果が得られた。これらの結果から、対人コミュニケーション状況が顔面皮膚血流量変化に与える効果は、顔面部位や感情状態によって異なる可能性が示唆された。
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