2010 Fiscal Year Annual Research Report
対人コミュニケーションにおける顔面皮膚血流変化に関する研究
Project/Area Number |
21530673
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Research Institution | Kamakura Women's University |
Principal Investigator |
廣田 昭久 鎌倉女子大学, 児童学部, 教授 (40266060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 時洋 科学警察研究所, 法科学第四部, 主任研究官 (60392263)
松田 いづみ 科学警察研究所, 法科学第四部, 研究員 (80356162)
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Keywords | 対人コミュニケーション / 顔面皮膚血流量 / 感情 / 観察者 / 歌唱 / 暗算 |
Research Abstract |
対人コミュニケーション状況における、顔面皮膚血流量の変化とその機能について検討した。各種感情喚起ビデオを用いた検討から、顔面皮膚血流量に感情価の違いと観察者の有無との交互作用が観察されたことを受けて、ビデオ課題では検討できなかった「恥ずかしさ」の感情を喚起する新たな課題(童謡の歌唱課題)を実施し、観察者の有無の条件と、その際の前額と頬の顔面皮膚血流量変化を検討した。さらに観察者の有無の条件のもとで認知課題(暗算課題)を実施し、比較検討した。また、実験参加者の心理特性との関係について検討するため、実験開始時に,早稲田シャイネス尺度,自意識尺度及び他者意識尺度を実施した。 その結果、歌唱課題では、前額・頬ともに観察者の有無の条件間に差が見られ、観察者のいる条件ではより高い血流量の増加が観察された。これに対し、暗算課題では、前額においては観察者の有無の条件間に差はなく、頬では観察者のいる条件で若干の増加が見られた。この結果は、恥ずかしさという感情状況では、観察者の有無の相違が、顔面皮膚血流量において明確に示されたことを示している。顔面皮膚血流量変化と他の生理指標との相関を求めたところ、観察者のいる条件では、歌唱課題の場合は前額・頬ともに高い相関値が得られたが、暗算課題では両部位とも他の指標との相関はなかった。一方、観察者のいない条件では、歌唱課題では両部位ともに高い相関値が得られたが、暗算課題では主に前額で有意な相関が得られた。以上の結果から、頬よりも前額の皮膚血流量は他の心臓血管系指標との関連が強いが、その関係性は観察者の有無によって影響を受けること、また、前額と頬の皮膚血流量変化は異なる反応生起機序を有する可能性が示唆された。さらに、生理指標と心理特性尺度との相関分析の結果から、観察者の有無は心理特性と各種生理反応との関係性を変容する可能性があることが示唆された。
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