2010 Fiscal Year Annual Research Report
undecided型の進路未決定者のリラクタンシーおよび自己との適合希求の解明
Project/Area Number |
21530683
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
若松 養亮 滋賀大学, 教育学部, 教授 (50273389)
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Keywords | 大学生 / 進路未決定 / 進路意思決定 / 動機づけ / 自己との適合 |
Research Abstract |
まず就職活動を終えた面接調査および3年次秋における質問紙調査は、意思決定遅延の学生が、自己と進路のどのような適合を望んでいるのか、就職活動前に望んでいた適合が現実の就職活動を経てどのように変わるのか、また選択活動に対する気の進まなさ(リラクタンシー)がなぜ生じるかを明らかにすることで、彼らの意思決定遅延を記述・説明するキー概念を見いだし、後続の支援に寄与する知見を得るために行われた。面接調査からは、就職活動がかなりの難航を示した者も、当初考えていた「適合」はあまり変わることがなく、勤務時間や休日などの面で譲歩した程度の変化が観察された程度にとどまった。就職活動に難航しても適合の観点や要求水準を見直すのではなく、選択肢の幅を広げて対処していた。また質問紙調査からは、志望度の評定は「興味」の評定と強く相関する一方、その両者は「実現可能性」とは無相関であり、彼らの進路選択が「面白そう・やってみたい」が先行する、あまり現実を踏まえないものと思われること、また自己評定のなかでは「能力」や「実現可能性」という能力の側面だけが意思決定遅延に関わっていないこと(したがって時期的には遅れずに決定できた学生も、能力的な側面の適合を踏まえているわけではない)、気の進まなさは「能力」の評定が低いこと、および「性格や価値観に合っている」の評定が高いことと関連があること、などの結果が得られた。続いて行われた3年次生の進路意思決定遅延者に対する個別の意思決定支援実践では、多くのケースがそれなりに選択肢を有していながら絞りきれないという状態像で来談したが、選択肢が生活に身近なあるいは趣味的なところを中心にしており、しかも調べられるはずのところまで探索していないというプリミティブな側面を有していたことから、そうした弱点を補う行動を指示するというはたらきかけが奏功していた。
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