2010 Fiscal Year Annual Research Report
学級構造化方略の時系列的変化と児童の多面的動機づけへの影響メカニズム
Project/Area Number |
21530684
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中谷 素之 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (60303575)
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Keywords | 学級構造化 / 多面的目標 / 教室談話 / 教師 / 学習 / 児童 |
Research Abstract |
目的:従来の教育心理学研究では、子どもの意欲を高めるものは、教師による学習指導の仕方や教材の与え方など、学習課題そのものに関わる要因であるととらえられてきた。しかし実際の教室環境のなかでは、教師-生徒の人間関係や学級風土といった社会的な要因も、学習の動機づけを左右するきわめて重要な要因である(Meece,J.,Anderman,E,Anderman,L,2006;中谷,2007)。とりわけ、教師が学期あるいは年間に渡ってどのように学習に向かうクラスの構造を形作るかは、子どものもつ学習および社会的な動機づけに深く影響しているだろう。本研究では、教師による学級構造化方略という新たな観点から、学級において学業・社会を含む多面的動機づけを促すメカニズムについて検討する。学級構造化方略を、学級内に一定の構造や規範を形成するために教師が行う学業面および社会面に渡る指導行動の方略ととらえ、授業観察と質問紙調査という質・量両面のデータを組み合わせ、教師の学級構造化が、学業・社会を含む児童の適応過程に及ぼす影響について焦点を当てる。 平成22年度の研究では、教師の学級構造化に関して、どのような方略が存在し、それらは具体的にどのような教授・指導実践であるかについて、質的な検討を中心に行った。 方法:大阪府1市内の公立小学校の2年と4年の各1クラスを対象とした通常授業において、学級づくりに関わるトピックを扱った授業数回の観察および学年団による学級づくりのインタビューのデータについて、カテゴリーおよびその文脈に注目しながら、質的に分析した。 結果:教師による学級構造化方略の観点から、教室談話の質的データを検討した結果、教師の熟達によってその教師の用いる学級構造化方略のカテゴリーが異なる傾向が示された。またそれは、クラスの児童の学習過程および多面的動機づけに影響を与えている可能性が示唆された。
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