Research Abstract |
大阪府立母子保健総合医療センターにて,1996年6月~2002年5月の間に生まれた平均年齢9.3±1.8歳の超低出生体重児82名(極低出生体重児12名を含む)(男38名;女45名)(平均出生体重820±205g;在胎期間27.1±2.5週)と,対照群として平均年齢9.6±1.4歳の兄弟姉妹7名(男4名;女3名)(出生体重3003±236g;在胎期間39±1週).を対象に,.2009年7月19日~9月29日の毎週土曜日あるいは日曜日に検診を実施した.他に3名の低出生体重児が受診したが,分析からは除外した.用いた主な尺度としては,認知レベルはWISC-III,学習障害は児童評定尺度(PRS)(母親による評定)(森永・隠岐,1992)とLDI(担任教師による評定)(上野ら,2005),自閉症スピクトラムはASSQ(Ehlers et al.,1999;井伊ら,2003)を用いた。Conners評定尺度,ADHD-RS(DuPaul et al.,1998),CBCL(AChenbach,1997)により,ADHDとADHD関連の行動問題を評価した。他には,HOMEによる家庭環境の評価,VMIによる視覚運動協応の検査,MCTQ(佐藤・古田,1989)による気質の評価,母親に対する愛着尺度(本多,2002),動的家族画なども実施した.その結果,超低出生体重児82名中、自閉症スペクトラム(ASD)が10名(12.2%)、学習障害(LD)が18名(22.0%)、境界知能(70≦IQ≦79)が7名(8.5%)、知的障害(MR)が5名(6.1%)、定型発達(TD)が42名(51.2%)であり,自閉症スペクトラムは通常の10倍,学習障害も通常の5倍と高い出現率であることがわかった.また,注意欠陥多動性障害(ADHD)の症状が見られた児は37名(45.1%)でこれも通常の約10倍の出現率であった.一方,対照群の7名いついては,学習障害が2名,境界知能が1名,ADHDが1名であったが,学習障害とADHDを併発した1名の男児は,検診では陰性であったが,過去に,自閉症スペクトラムの診断を受けていた.弟は自閉症スペクトラムであった.成果の一部は国内の3つの学会で6演題発表し,3月末の日本発達心理学会で4演題,5月の国際学会で1演題発表を予定している.
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