2011 Fiscal Year Annual Research Report
3専門職種における生成継承性の心理的特質と発達過程に関する研究
Project/Area Number |
21530691
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 祐子 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (90213991)
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Keywords | 専門家アイデンティティ / アイデンティティ形成 / 生成継承性(Generativity) / 陶器職人 / 心理臨床家 / 語りの分析 |
Research Abstract |
本研究は、(1)職人、(2)心理臨床家、(3)先端企業の幹部候補者という3つの専門職に携わる人々を対象に、Generativity(生成継承性)のミクロな発達過程を実証的に検討することを目的としている。 <研究I>陶器職人における専門家アイデンティティの生成と継承 岡本(2010)に引き続き、本研究は、陶器職人のProfessionの生成と継承に関する第2研究としてErikson(1950)の精神分析的個体発達分化の図式の視点から、陶器職人の熟達のプロセスを実証的に検討した。沖縄県読谷壷屋焼の代表的な陶芸家である島袋常秀教授に対する個人面接から得られた語りを、師弟関係を通じた次世代への継承に重点をおいて分析した。工房への入門から独立までのプロセスにおいて、入門の主体性、作陶の全工程に責任をもつこと、師を「見て技を体得する」こと、美を感じ受けとめる力とそれを消化し作品として生みだす展開力など、7つの重要な課題が見出された。個体発達分化の図式におけるI~V段階の心理社会的テーマが、専門的職業の次元でも再度重要な意味をもつことが示された。また、職人のProfessional workの重要な課題である「職業世界における基本的信頼感」と「感性」を支える沖縄の文化的風土について考察した。 <研究II>心理臨床家の専門家アイデンティティの生成と継承 5名の心理臨床家に個別の半構造化面接を実施し、心理臨床家としての自立(上の世代からの専門家アイデンティティの継承)のプロセスと、次世代育成のプロセスの語りを分析中である。 (2012年度、論文として完成させ、発表の予定である。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究Iは、面接調査を終え、2010年度に1件、2011年度に3件の論文として発表し、2件の学会発表を行った。研究IIは、面接調査を完了し、現在、分析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究最終年度である2012年度は、2009年度までに得られた研究IIIのまとめ、および全体のまとめを行い、論文として発表する予定である。その後、著書としての刊行を計画している。
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