2009 Fiscal Year Annual Research Report
メタ認知モニタリングの意識的成分と自動的成分の分離に関する実験的研究
Project/Area Number |
21530694
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岡本 真彦 Osaka Prefecture University, 人間社会学部, 准教授 (40254445)
|
Keywords | メタ認知 / モニタリング / 意識性 |
Research Abstract |
本研究では,メタ認知,特にモニタリングの意識的な成分と自動的な成分を分離するための潜在的誤答検出パラダイムを開発し,その有効性を検討した。いいかえると,本研究の目的は,潜在的誤答検出パラダイムを用いて,モニタリングの自動的成分と意識的成分の分離が可能であるかどうかを検討することであった。潜在的誤答検出パラダイムは,モニタリグフェーズとアナグラムフェーズの2つのフェーズからなっていた。モニタリングフェーズでは,2桁の足し算問題が筆算形式で提示され,その答えの数字の10の位の数と1の位の数を足した数が10を超えるかどうかの判断を求めるものであった。アナグラムフェーズは,2桁の筆算の答えの数字だけを提示し,アナグラムで提示された問題部分の2桁の数字の組み合わせを答えるものであった。 実験の結果,誤反応率と計算アナグラム課題の2つの指標に誤答含有率の違いが見られた。特に,モニタリングフェーズにおいて,正答刺激には誤答含有率の効果が見られないのに対して,誤答刺激では誤答刺激が多くなる75%ブロックでの誤反応率が高くなっていた。75%ブロックは,40間中30問の誤答が含まれており,この多数の誤答が実験参加者のモニタリングレベルを上げることで,付加的な認知処理を必要としたために,誤反応率が高くなったのではないかと解釈できる。このことは,計算アナグラム課題の10%ブロックの成績が高いことによっても支持されるであろう。すなわち,10%では誤答刺激があまり含まれていないため,付加的なモニタリングを必要とせず,計算刺激の学習が容易になったからと考えられるからである。まとめると,潜在的誤答検出パラダイムを用いることで,意識的なモニタリングの成分を取り出すことができたといえよう。一方で,潜在的なモニタリングの成分はうまく取り出せなかったので,この点ついて今後検討する必要がある。
|
Research Products
(1 results)