2011 Fiscal Year Annual Research Report
知識の活用を可能にする操作的思考の活性化と抑制条件に関する教育心理学的研究
Project/Area Number |
21530695
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
工藤 与志文 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20231293)
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Keywords | ルール学習 / 操作的思考 / 発見的推論 / 逆向き推論 / 道徳的誤読 |
Research Abstract |
1.教員養成系の大学生を対象にした調査研究により,理科学習における発見的推論(アブダクション)に対する評価が全体的に低いことが明らかとなった。さらに,理科教師を志望する学生の方が,他教科志望学生よりも低い評価を与える傾向が見出された。現段階ではこの結果を十分に解釈できないものの,発見的推論に対する抑制条件について興味深い知見が得られた。 2.ルール表象の操作可能性を高めるための条件のひとつとして,提示事例における推論方向の違いを取り上げ,逆向き推論がルール学習に及ぼす影響を検討した。その結果,先行実験とは異なる結果が得られたため,それをふまえた考察は困難であったが,いわゆる「例外への懸念」の問題については,逆向き推論が有効である可能性が示された。 3.操作的思考研究を文章理解研究に拡張する試みをおこなった。文章中の命題の操作水準と読解との関連を検討したところ,両者の間に密接な関連は見られなかった。しかし,いわゆる「道徳的誤読」を誘発するような内容の命題操作は,中立的な内容の操作よりも困難であることが明らかとなり,「操作」概念が文章理解研究においても大きな意味を持つ可能性が示唆された。 4.研究課題のまとめとして,関連するテーマの研究者を招いて自主シンポジウム「ルール学習と操作的思考-概観と展望-」を企画・実施した。これにより,知識操作研究の現在までの到達点を共有するとともに,今後の課題について広い視野から意見交換をすることができた。
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Research Products
(4 results)