2011 Fiscal Year Annual Research Report
教育が生み出したコホート差-ハンセン病元患者のキャリア発達を通して-
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21530698
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Research Institution | Yonezawa women's junior college |
Principal Investigator |
沼山 博 山形県立米沢女子短期大学, その他部局等, 准教授 (00285678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 朋子 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (10285687)
菊池 武剋 仙台白百合女子大学, 人間学部, 非常勤講師 (90004085)
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Keywords | 教育系心理学 / 生涯発達心理学 / ハンセン病回復者 / コホート / キャリア発達 / ハンセン病療養所における教育 |
Research Abstract |
本研究はハンセン病回復者間に存在する療養所入所年によるコホート差を、療養所内の教育制度や方法・内容の変化に対応させながら、把握することを目的とし、①回復者に対する聞き取り調査、②療養所および関連機関に残存する資料を収集・分析(関係者への聞き取りも含む)を行ったものである。平成23年度は、特に長島愛生園にあった入所者のための高等学校(岡山県立邑久高校新良田分教室)に関して、1965年以降について中心的に調査を行った。その結果、次の点が示唆された。 1)同分教室は1955年に開設され、その初期の教育内容や方法には差別的なものが含まれていたといわざるをえない。しかし、全体的にみると1965年付近が転換点となって、変化が生じている。具体的には、①進路指導が就職だけではなく、進学が目標として加わり、教育内容もそれを意識したものが含まれるようになった。②また正式な修学旅行の実現は1975年になるものの、1965年あたりから一時帰省を利用した旅行が実現していた。この旅行の実施は、教員と生徒、療養所自治会など、当時の差別的な状況を最大限考慮した工夫とみることもできる。③教員と生徒のかかわりについては、ベル制や接触後の消毒など、分教室発足当初と変わらない差別的な制度が続いていた。これらが廃止されたのは1974年である。その一方で、教員のなかにはそうした制度に必ずしも縛られないかかわりをもった人も存在した。 2)同分教室の教育は、回復者に対する差別的待遇の一翼を担ったとする見方も根強いが、当事者からの聞き取りで、教員、生徒、療養所当局、入所者自治会などが、時として対立しながらも、そうした制度のなかでよりよい方向へ向け、苦悩と工夫をしている姿が浮き彫りになった。また、治療法の進展や1965年の「らい対策の大綱」に象徴される政府の政策の変化など、社会状況の変化もそれらの背景になっていたように思われる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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