2011 Fiscal Year Annual Research Report
親密な友人により形成された排他的な仲間集団が、学校不適応感に及ぼす影響
Project/Area Number |
21530707
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
三島 浩路 中部大学, 現代教育学部, 准教授 (90454371)
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Keywords | 学級集団 / 適応 / コミュニケーションスキル |
Research Abstract |
仲間集団に対する独占的な親密関係指向の強さが,学級適応感に負の影響を及ぼす可能性があることが,小学校高学年女子を対象とした調査研究の結果から示唆された。仲間集団に対する指向性と学級適応感の双方に,コミュニケーションスキルが影響を与える可能性があり,独占的な親密関係指向が強く,学級適応感が低い小学生の適応感を向上させるためには,コミュニケーションスキルを高めることが有効ではないかと考え,学校生活に対する適応感を高めることに効果的なスキルを明らかにするための調査研究を行い,その結果を基にして「学校生活適応コミュニケーションスキル尺度」の開発を試みた。 小学校教師26名を対象に,小学校生活に適応するために重要だと考えられるコミュニケーションスキルを調査した。この調査結果をもとに14の質問を作成し,学校適応感に関する質問と合わせて小学校5・6年生240名を対象に調査を行った。調査対象となった児童が在籍する学級の担任教師には,児童一人ひとりのコミュニケーションスキルの程度について評定していただき,尺度の妥当性を確認する資料とした。14項目の評定値を因子分析した結果,日常的コミュニケーションスキル因子と授業コミュニケーションスキル因子からなる2因子構造がみられた。この2因子の尺度得点を説明変数,教師評定によるコミュニケーションスキルの程度の評定値を目的変数にした重回帰分析を行った結果,2つの下位尺度得点は有意な回帰を示した。児童に対して行った学校生活適応感尺度の評定値を目的変数にして同様の分析を行った結果,日常的コミュニケーションスキル因子のみが有意な回帰を示した。 以上の結果をもとにして尺度を作成すると同時に,日常的コミュニケーションスキル因子を構成した7項目に相当するスキルを高める実践を行い,適応感の向上や独占的な親密関係指向の低下に影響を及ぼす可能性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を推進するために必要な小学生から高校生までのデータ収集は完了しており、収集したデータを使用して作成した投稿論文も審査中であることから、研究最終年度にあたる次年度には、研究開始時に予定していた計画をおおむね達成することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに論文が完成している中学生に関する研究や、現在、論文が審査中である小学生に関する研究に加え、本年度中に収集を完了した高校生のデータを分析して、次年度中に学会発表を行い、論文にまとめる。こうして小学生から高校生までの調査結果を包括的に検討し、本研究の最終まとめを行う。さらに、調査研究の成果を活かした授業実践についても、学校生活適応コミュニケーションスキルを向上させる手法を導入するなどして、教育現場と連携しながら推進する。
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