2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタTOMに基づくTOM行動の情報処理:大人はなぜ子どもの嘘を見抜けないのか
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21530711
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
菊野 春雄 大阪樟蔭女子大学, 児童学部, 教授 (00149551)
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Keywords | 心の理論 / 母親 / 子ども / 認識 / 情報処理 / 母性 / 育児不安 / 養育経験 |
Research Abstract |
子どもを育てた経験が子どもの心の状態を推測するのにどのように影響するのかを検討した。子どもを初めて育てる母親に比べ、子どもを多く育てている母親の方が、子どもの行動から子どもの心の状態をより適切に推測しようとするのではないかと予想した。母親に子どもの心のサイン認識尺度テストを提示した。子どもの心のサイン認識では、子どもが悲しいと感じているときの母親が子どもの心の状態を、子どもの行動から推測できるのかを評価した。その結果、母親は子どもの心の状態を推測する際に、子どもの目、口、表情、歩き方、話し方の情報を有意に多く使うことが認められた。子どもの数が、一人か二人以上かによって、子どもの心の推測に有意差は見られなかった。また、母親の育児不安が男児と女児の嘘の認識を妨げるのかについて検討した。そのために、母親の育児不安テストと心のサイン認識尺度テストを実施した。認識尺度テストでは、子どもが嘘をついているときに、母親が子どもの心の状態を、子どもの行動から推測できるのかを評価した。その結果、育児不安が高いほど、子どもの心の状態についての認識が高いことが明らかになった。しかし、子どもが男児であるか女児であるかについては、有意な差が認められなかった。また、母親は、鼻や耳など動くことが少ない「静部位」よりも目や口、眉毛など動くことが可能な顔の部位である「動部位」を手掛かりにして、'子どもの心の状態を推測していることが示唆された。
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