2011 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児を育てる親のメンタルヘルスと支援リソースに関する臨床心理学的研究
Project/Area Number |
21530718
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
篁 倫子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (10280570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 一枝 白百合女子大学, 文学部, 教授 (00338568)
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Keywords | 親のメンタルヘルス / 発達障害 / 支援リソース |
Research Abstract |
本年度の成果と意義 1)調査(23年3月~4月)結果の分析と報告 全国LD親の会を通し、都道府県の親の会会員、189名の回答を分析し、(1)精神的健康感が低く、疲労感が高い傾向にある人は半数以上を占め、特に母親の9%は危険と判断される水準であった。(2)子育て負担感の低さ、充実感、夫婦間の協力関係、経済的満足感がメンタルヘルスに影響しており、この関係は一般と同様。(3)子どものQOLは母親のQOLには影響するが、父のQOLには直接的な影響を及ばさなかった。(4)医療・保健、教育機関にはそれぞれ固有の専門性を基盤にした介入が何より評価されていた。その一方、親の会は理解しあえる仲間ができ、その中で親が自分自身の成長と自律性をを実感できる重要な存在となっていた。 2)療育センターに通う子どもの母親へのインタビュー調査のまとめ 就学前の子どもの母親(6名)へのインタビューをKJ法で分析した結果、母親の心理的体験は【子育てに両価的な想いを抱きながら奮闘する】とこから始まり、療育センター等での援助を受けながら【"母"への支えを築いていき】、専門家との関係は「母親と周囲の関係」の基礎となり、母親が能動的に【子どもを守り育む環境を求めていく】ことにつながる。そして、親同士の関係にも影響されながら【自分ケアを見つけていく】過程が浮かび上がった。一方、母親は長期的な心理的支援を求めており、子どもの年齢で途切れる支援の在り方の問題も示された。 3)その他の研究成果を含めた報告書を作成し、関係者・機関に配布した。
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